はじめにバッファリングとは、硝酸カルシウムを培地に置換させて、初期栽培を安定させるための前処理作業です。これは、塩基処理とは全く異なります。ココカラの製品は、EC1.0以下(いちごの場合は0.5以下)にしているのでご安心ください。<バッファリング推奨理由>①ココピート培地の成分を同一条件にし、管理しやすくするためココピートには、天然の肥料が含まれています。ただし天然物のため、どの培地にどのくらいの肥料が含まれているか分かりません。ココピートは、Ca2+(二価陽イオン)を吸着しやすい性質があります。そして、二価陽イオンを取り込むことで、N+、P+、K+(一価陽イオン)を放出する性質を持っています。そのため、硝酸カルシウム水溶液でココピートを膨張させると、イオン交換反応(Ca2+を加え、ココピートの複合体からK+などの一価陽イオンを除去するプロセス)が行われ、培地にもともと含まれているN+、P+、K+は完全に洗い流され、培地の条件が均一になります。 ②微量要素欠乏症を防ぐためバッファリングをせずに、新しいココピート培地に施肥をすると、追加されたカルシウム(Ca+)、鉄(Fe2+)、マグネシウム(Mg2+)などの必要な要素が培地自体に取り込まれてしまいます。すると、実際に植物に供給されるCa2+などの微量要素量が、生産者の想定量よりも少なってしまう傾向があります。一方、硝酸カルシウム水溶液でココピートを膨張させる(バッファリングする)と、イオン交換反応でココピートに含まれるK+とP+とN+だけでなく、Na+も完全に除去され、Ca2+に置換されます。さらに、二価のCa2+を吸着させることで、ココピートはCa2+でコーティングされた状態になります。そのため、新たに追肥したCa2+、Fe、Mn、Mgなどの微量要素が培地に吸収されるのを防ぐことができます。よって、肥料がそのまま植物に行き渡るので、微量要素欠乏症を防ぐことができます。いちごの場合は根が細いので必ずバッファリングすることをおすすめします。 補充用のココカラスラブ ミニは少量なので、水で復元して問題ありません。硝酸カルシウムによるバッファリングが必要になるのは、培地の入れ替え時に新しいココピートを利用するときです。次作以降に同じココピート培地を利用する場合は、バッファリングは不要です。<アク抜きや塩抜きとの違い>冒頭でも説明した通り、硝酸カルシウムによるバッファリングは、塩基処理とは全く異なります。アク抜きや塩抜きは、ECを下げるために、水で洗浄して、つけ置く処理方法です。ココカラの 製品(ココカラピート)は、腐植したココナッツの殻から取り出したココピートを、数ヶ月間保管した後に数回洗浄しているため、使用前のアク抜き・塩抜きなどの処理は不要です。 ココピートをバッファリングすることで、ココピートの欠点をできる限り排除し、安定収量を目指すことが可能です。