生産地 :茨城県筑西市栽培作物 :キュウリ導入製品 :グローバッグ(TP4)茨城県筑西市でキュウリを栽培し、共販出荷をしている3名が、隔離培地を使ったキュウリ栽培に取り組んでいます。現在、ココピート培地を採用しているキュウリ栽培農家は、関東では尾見さんのみです。環境制御型の施設園芸でも、トマトやイチゴと比べてキュウリでは隔離培地がまだあまり普及していません。そんな尾見さんに、土耕栽培からココピートを使った隔離培地へ変更した理由や、ココピートへの変更で苦労された点などを赤裸々に語って頂きました。尾見さん(右):ココカラグローバッグTP4を2020年7月より使用谷中さん(左):土耕栽培から隔離培地への変更を検討中大嶋さん(中):土耕栽培Q:尾見さんが、土耕栽培から隔離培地での栽培に変えたきっかけは何ですか。尾見:やるしかない!という感じでしたね。でも、隔離培地でキュウリの栽培をしている国立の研究所へ研修に行くなど、2年くらいは隔離培地を追いかけました。その時は、追いかけているイメージではなかったけど。少しずつ知識を貯めて、これならできそうと思って導入しました。谷中:できそう!と思ったのはなんで?尾見:ココカラの大原さんが営業の電話をしてきてくれたから。それがなかったら、やってなかったと思う。タイミングですね。大嶋:最初の一歩がね。Q:尾見さんが、ロックウールではなくココピート培地を選んだ理由は何ですか。尾見:廃棄方法が簡単でサステナブルだということです。ロックウールとココピートでは、栽培方法は大きく変わらない。ただ、それぞれの培地の排水性と保水性の割合は意識しないといけませんが。谷中:土耕と比べると、隔離培地の方が水かけとか施肥がシビアなんじゃないですか? 土だと地下水もあるし、たとえ水が止まったとしても、植物はある程度生き延びられるけど、隔離培地は、水が止まっちゃうとどこからも入ってこないので。大嶋:土だと肥料成分も色々入ってるけど、隔離培地は何もないから。尾見:隔離培地は、肥料や水の微調整でだいぶ結果が変わるかな。そこが隔離培地の面白い部分でもあるし、難しい部分でもある。土だと施肥後の効果が何となくしかわからないけど、隔離培地は入れたものだけが影響するので、良し悪しがすぐに分かるし、植物もすぐに反応してくれる。Q:尾見さんは、他のココピート培地のメーカーも検討しましたか?尾見:検討もしました。でも、最初にココカラへメールしましたね。それは、細かいデータを一個一個きちんと出していたので、信用できたからです。他のメーカーは出していませんでした。▼品質管理・成分表がほしいQ:土耕からココピートに変更して困ったことはありましたか?尾見:すっごくありました。うちの設備の問題なんですけど。僕の家の地下水がたまに濁るんですよ。大雨の時とか、地下水が減った時に柔らかい土を吸い上げてきちゃうことがあって。それでフィルターが目詰まりしちゃって、灌水ができていない時期があったんですよ。ただ、そのフィルターの不調に気づくまでに2週間くらいかかっちゃって。その間、ずっとジョウロでココピート培地に水挿してました。笑い事じゃないですよ。真夏のお盆の時期で、35℃くらいの時に「おかしい」って、朝8時から10時くらいまでずっと水をかけてて、ハウス全棟を回るんですよ。そうすると、最初にかけてたところが乾いちゃうから、「2周目だ!」って10時からお昼くらいまでずっと。これを2週間くらい続けました。大嶋:培地は小さいから、乾くのが早い。土だったら、量が多いのでそこまで乾かないのですが。尾見:その時期は地獄でした。でも、フィルターを洗ったらすぐに解決しました。フィルターに気づくまで、ポンプを変えたり色々やりましたね。Q:ココピート培地へ変更後の収量や品質はいかがでしたか?尾見:品質も、最初はすごく悪かったです。キュウリが丸くて、太くて、イボも少なくて、ウリみたいなのができてしまって。「なんだろうなー」って。色々計測してみたりして、ECが低いことがわかりました。もちろん灌水量も少なかった。フィルター目詰まりしていた間はジョウロで水やりをしていたのですが、ジョウロだと、どれくらい肥料を入れているかわからないじゃないですか。その後で、きちんとECの濃度調整をしたら、普通よりいい品質になりました。もし、ECに気づかなかったら、「最悪だな、固形培地」って思っていました。ECに気づかなかったらちょっとなー。大嶋:短形なのは、水が足りなかったから?尾見:そうそう。予想ですが、ECが低かったから、多分イボが少なくて、丸くなっちゃう。ECを高くすると、イボが強くなって、細長くなる。谷中:逆のイメージじゃないですか?大嶋:うん、EC高くてイボが強くなるのはわかるんだけど、ECが高いと、短くなる気がして。尾見:いや、短くならなかった。細長くなりました。谷中:ECが高い方が、吸収しづらい?大嶋:植物体の中の濃度差で、ECが高い方が吸収しづらい。同じくらいの濃度の方が吸収しやすい?尾見:作物は受動的にも吸収するかもしれないけど、能動的にはEC差の浸透圧で吸水するじゃないですか、例えば、ECでお腹一杯にするために、合計で肥料が2必要な場合、0.5の濃度の肥料なら水の量を4ℓ(0.5×4=2)与えるよね。濃度を0.5から1にすれば、水の量は半量の2でよくなるよね。そうすると、余計な水分が必要なくなるから太くならないんじゃないかな。ただし、もちろん適正なEC濃度の範囲での話だよ。自分たちが土耕栽培で適正だと思っていたECより、固形培地のECがちょっと高かったという話ですかね。Q:ほかに隔離培地によって変化したことはありましたか?尾見:土耕の時は、連作障害によるシストセンチュウで根の周りにボコボコがついてきたけど、隔離培地ではゼロに近いですね。隔離培地でも、センチュウが一回混入したら寄生するけど、最初はゼロなので。2年おきに新しい培地に変えれば、限りなくゼロに近くなると思います。Q:培地の入れ替えは大変?尾見:土を耕すより楽ですよ。土耕の場合は年に2作なら、2回耕さないといけないし、3作なら3回。固形培地は、2年に一回の入れ替えだけでいいですよね。隔離培地でキュウリを栽培している農家はまだ多くありません。土耕栽培から隔離培地へ変更するときに障壁となっているのは?▼茨城県筑西市キュウリ栽培農家の「培地座談会」Vol.2 へ続く【キュウリ導入事例】ココピート培地でキュウリ栽培をするために準備すること。会社名 Omifarm生産地 茨城県筑西市お話をお伺いした方代表 尾見喜信さん20代はコンサルティング会社・公認会計士事務所勤務30歳のころに東日本大震災を経験し就農を考えた32歳で就農 現在営農7年目公式ホームページ https://www.facebook.com/omifarm栽培作物 キュウリ栽培時期7月定植 11月定植 年二作栽培方法養液栽培導入製品 ココカラグローバッグ(TP4)規模 栽培面積60a(うち8aが隔離栽培)cococaRaでは、ココピートの活用方法やココピートを導入された農家様の事例、当社の取り組みなどをお届けするメールマガジンを配信しています。ご興味のある方は、この機会に是非こちらから配信ご登録ください。cococaRaは、エコで高品質なココピートによって世界中の農業生産者が安定して生産できる環境を実現し、それによって農業生産者の生活を豊かにしていくことを目指し、これからも役立つ情報発信を継続してまいります。