<目次>地球環境保護への関心が高まる昨今、産業廃棄物であるロックウールや土地を掘り起こして採取しているピートモスに代わる環境配慮型の土壌改良材として、ヨーロッパやアメリカを中心に普及が進んでいる有機培土が「ココピート」です。 ココピートってどんな培土? ココピートは、ココヤシのハスク(中果皮:ココナッツの殻の内皮にある繊維や粒)を原材料として、0.1〜10mmに粉砕した粒を利用した有機培土です。主な生産国はインドやスリランカで、有機質100%であること、高い保水性を持つことから、多くの国で使用されています。もともとマットやロープなどのヤシ殻製品を作る際に捨てていた部分を活用・加工しているので、原材料の調達方法も地球にやさしいことが大きなメリットになります。また、用途や使用する場所に合わせて形状を変えることができます。ココピートを使うメリットは? なぜ今ココピートが注目されているのか。ココピートのもつ10のメリットをご紹介します。 1. 使用後の廃棄処分が容易でサステナブル2. pH調整が不要3. 軽量で、作業が楽4. 保水性が高い5. 天然のトリコデルマ菌がある6. 陽イオン交換容量(CEC)が安定している7. 乾燥しても水を入れたら使用できる8. トータルコストが安価9. 同じ培地を複数年使用できる10.環境にやさしい1. 使用後の廃棄処分が容易でサステナブルココピートは100%有機培土のため、畑にすき込んで土壌改良剤として再利用ができます。また、堆肥にして販売している方もいます。2. pH調整が不要pH(土壌酸度)は、一般的な植物の育成に適していて、どんな肥料成分も吸収しやすい5.5〜6.5で安定しているため、pH調整が必要ありません。3. 軽量で、作業が楽軽量である上に、様々な形状のブロックに圧縮できるため、持ち運びや土入れがとても楽になります。ロックウールの場合は、形状を変えて圧縮することはできません。4. 保水性が高い ココピートは多孔質のため、保水性・保肥性に優れています。5. 天然のトリコデルマ菌がある トリコデルマ菌は昔から有用菌として農業に使われているカビの一種で、作物に寄生する有害な菌が棲みにくい環境をつくります。ココピートには、天然のトリコデルマ菌が存在しています。6. 陽イオン交換容量(CEC)が安定している陽イオン交換容量(CEC)とは、簡潔にいうと土壌の保肥力を指します。CECが高い= 保肥力が高く、CECが低い=保肥力が低いということです。ココピートは40~100meq/100g(粒子サイズによる)で、レンジが狭く安定しているため、必要肥料の計算がしやすいのが特徴です。一般的にピートモスのCEC値は約100~200meq/100gと高ため、培土内に含有される肥料が多くなります。しかし、CEC値が高すぎると培土が肥料を手放しづらくなり、結果的に供給する肥料のバランスの計算が難しくなります。そのためピートモスでは、ゼオライトやパーライト、バーミキュライトなどと混ぜてCEC値を調整する必要があります。一方ロックウールのCEC値はほぼゼロで、肥料を培土内に含有しないため、多くの水と肥料を必要としますが、供給肥料の計算がしやすくなるという利点もあります。ココピートのCEC値は中間値で安定しているため、他の培土と混ぜる必要もなく、多くの水と肥料を必要とせず、植物の成長にとっては快適な土壌となります。7. 乾燥しても水を入れたら使用できるココピートは一度乾燥しても、水を入れると吸収して再度膨らみ、問題なく使用できます。ただし、微粉の多いココピートは膨らみずらいのでご注意ください。ココカラの製品は、微粉を取り除いているため、膨張しやすいのが特徴です。なお、ロックウールは一旦乾燥すると水をはじいてしまい、使用できなくなります。8.トータルコストが安価肥料や水の費用から廃棄費用まで含めると、ロックウールと比べて、トータルコストは安くなります。廃棄コストが高いロックウールに対して、ココピートは畑に漉き込んで再利用もでき、業者引取りの場合でもロックウールより安価に処分ができます。9.同じ培地を複数年使用できる目減りした分の培土を補充していけばれ5年以上、補充しない場合でも2~3年間は同じ培地を使用できます。10.環境にやさしいココピートはヤシの生産物の残さを利用しており、環境に配慮した製品です。ココピートのデメリットは?1. 天然の塩や肥料の割合がわからない 天然素材ゆえに、ココピートには塩や肥料(窒素、リン、カリウム)が含まれています。しかし各成分の量にはばらつきがあり、安定した作物の収量や味に影響していきます。この対処法として、ココカラでは使用前のバッファリング処理をおすすめしています。2. 不純物の混入ココピートは100%天然素材のため、雑草や土・石などの不純物が混入している場合があります。3.隔離栽培では、定期的な入れ替えが必要隔離栽培で利用する場合は、定期的な入れ替えが必要になります。ココピートは使用する椰子の品種、産地、製造工程、場所(微生物の種類が異なる)によってその品質が異なります。例えば、製造段階でココピートの堆肥レベルがバラバラだと(色が黄色、茶色、黒色など)最初から成長にばらつきが生じたり、黒色のココピートが多いと堆肥になる速度が早く、1年で物理性が変わって使えなくなってしまう場合もあります。 そのため、長期利用するためには品質の安定したココピートを選ぶことが大切です。培土として魅力的なメリットが多いココピートですが、そのデメリットについてもきちんと理解し、正しい対処法を知ることで、ココピートのメリットを最大限にいかした栽培を行ってみてください。