鹿児島県東串良町に位置する株式会社吉ヶ﨑農園は、家業であるキュウリ農家としての基盤を活かしながら、現代的な農業技術を取り入れ、新たな挑戦を続けています。1.5haの規模を誇るこの農園は、フェンローハウスとパイプハウスを活用しながら、土耕栽培から隔離栽培へ転身。その際にココカラバッグを導入いただきました。またご自身で販路開拓にも積極的に取り組んでいます。今回は、吉ヶ﨑農園の代表である吉ヶ﨑大作さんに、土耕栽培から隔離栽培へ変更したきっかけ、また取引先との関係構築の方法、そしてこれからの展望をお伺いしました。▲今回お話ししてくださった吉ヶ﨑さん農業を始めた背景とこれまでの経歴私は東京農業大学で施設野菜の勉強をして、卒業後は神奈川県の試験場で1年間研究をしてから就農したんです。実家はもともときゅうり農家なんですけど、私自身、若い頃はファッションや美容業界に興味があって、全然農業とは違う方向を考えていたんですよ。だから家業を継ぐつもりは当初ありませんでした。でも父が新しくハウスを建てるタイミングで実家に帰って家業を継ぐことを決めました。2020年に就農してから、自分の中の経営目標を決めて運営していくようになりました。今は普通のキュウリだけでなく一口サイズのキュウリ「クアトリーノ」などの栽培にも挑戦し、地域の飲食店からのニーズにも応えています。▲吉ヶ﨑農園のキュウリとクアトリーノ栽培方法の改善で課題も解決ー連作障害に悩み、隔離栽培へ切り替え最初は高設栽培を検討しましたが、設備費用が高額なんです。うちのキュウリを栽培することによって、何年でその費用を回収できるか計算して厳しいことが分かってやめました。またこの2年、土耕栽培で連作障害に悩んでいました。収穫量も全然上がらなくて。それで隔離した養液栽培に切り替えることにしました。プラスチックかごを並べ、その上にココカラバッグを置いています。ココカラバッグは、陳列するだけですぐに使えるという点が非常に魅力的でした。おかげで作業効率が格段に向上しました。ー “低コスト・省力” で誰でも取り組める栽培方法の確立も目指す私は誰でも取り組める栽培方法を確立することも目標の一つにしているので、栽培コストを抑えることも大切にしています。ココカラバッグでの栽培は初期投資が少なく、さらに私しか動かすことができない難易度の高い機械などで運ばなくても、作業を進めることができるため、新規就農者にも最適です。これからも費用対効果を考えながら、新規就農者にも安心して農業に挑戦してもらえる方法を考えたり、現場に私がいない時も業務が進む体制を整えるために模索していきたいと考えています。▲吉ヶ﨑農園のハウスで栽培されているキュウリ信頼関係を大切に、販路開拓地元の直売所や飲食店へキュウリを販売しています。地域のニーズに応じたスナックキュウリを作ることで評価をいただいています。販路を広げるためには、直接お話しすることも大事だと思っています。やっぱり信頼関係が一番大切なので。日々のコミュニケーションも大切にしていて、たとえば天候不順などがあって出荷の遅延が出る可能性があった際は、取引先に写真を送って現状を共有するようにしています。あと、僕は人と接するのが好きなんですよね。鹿児島では「ぎいはい」って言うんですが、義理と情を大事にするのが自分のモットーです。相手がどんな人柄で、どうしたら喜んでもらえるかをいつも考えながら話すよう心がけているんです。相手の反応を見ながら冗談を言ったりしているうちに仲良くなって、人間関係を築いていっています。今後の展望今後はキュウリの生産をもっと拡大したいですね。「キュウリのことなら吉ヶ﨑さんに任せておけば良いよね」と鹿児島でキュウリの生産No.1になりたいです。着手し始めた沖縄でもそういった信頼関係を築いていくことが目標です。さらに今後は、苗屋さんをやっている後輩と一緒にイチゴの観光農園にも挑戦する予定です。人生一度きりですから、やりたいことをやり切りたい。それに何度でもやり直せるところが農業の良いところなので。これからも、やりたいなって思ったことがあったらまずは動く、ということを心がけていきたいと思っています。▲吉ヶ﨑農園のフェンローハウスインタビュー日時2024年11月13日訪問先株式会社吉ヶ﨑農園 代表 / 吉ヶ﨑大作氏 / 鹿児島県東串良町Instagramhttps://www.instagram.com/yoshigasaki.farm/?hl=ja