◼︎導入北海道上ノ国町を拠点にサステナブル農業を推進する寅福菜園。代表取締役の加藤夢人さんは、農業を通して地域の課題解決を目指し、「地域の”困った”を解決するのがビジネス」という信条で取り組んでいます。今回は、農業を始めたきっかけや彼の挑戦の歩み、そしてココカラの製品を活用した具体的な取り組みについてお話を伺いました。▲お話いただいた寅福菜園の代表・加藤夢人さん◼︎持続可能な農業への挑戦寅福菜園では、北海道でのハウス立ち上げ以来、地域資源を活かした持続可能な農業を実践しています。北海道本社のハウスでは、地熱エネルギーの利用により、エネルギー消費量を抑え、CO₂排出も最小限にとどめています。また、トマト栽培で使用したココカラピートは堆肥化し、アスパラガスの栽培に活用するなど、資源循環型の取り組みも行っています。青森県むつ市での新たな農場展開も、地域の課題を解決するためのものです。むつ市は森林が85%を占める土地柄で、建築材にならない木材をチップに加工してバイオマスボイラーで燃焼させ、エネルギー源としています。さらに、この燃焼で発生するCO₂を浄化して温室内に送り、トマトの光合成に利用するという循環型の仕組みを整えました。また、トマトの収益の一部をむつ市内での植樹活動に還元し、地域とともに持続可能な未来を創ることを目指しています。▲寅福菜園むつ市農場での循環型栽培の取り組み◼︎父の一言から始まった農業への挑戦私は元々農業とも北海道や青森ともまったく関係のない会社に務めていました。そんな中で私が農業を始めたのは、父の「農業をやってみないか」という一言がきっかけでした。父は元々、地元でスーパーマーケットを経営したり、ナマコの養殖や貿易事業に携わったりと、色々な分野で手を広げていたんです。父が農業を始めたのは当時、上ノ国町の町長が「一次産業で食べていける町を目指したい」と話されていたのがきっかけだったようです。父はそれまでスーパーを運営していたのですが、たまたま福島の原発事故の風評被害でカゴメのトマトが数千トン廃棄されるという記事を見て、ふと「自分でトマトを作ってみてはどうか」と思いついたと聞きました。その発想から、父は販売先の契約もないままトマト用のハウスを建て始め、電話で「やることにしたぞ」と一方的に言ってくるんです。年末には「いつ帰ってくるんだ」と聞かれ、仕事が忙しいから帰らないと答えると、「お前がトマト作るんだよ」と言われ、そこでようやく父が本気で農業をやるつもりだと気づきました。その後、栽培指導もしていただきながら、知識ゼロの状態から一歩ずつ学びました。2年目には売上が約1.7倍に伸び、人件費も効率化することができました。自分の会社だ、という責任感を持ちながら取り組むことで、少しずつ結果がついてきたと感じています。▲寅福菜園 本社農場のハウスの中の様子◼︎産業として確立されていない農業日本の農業は、まだ産業として確立されていない部分が多いと感じます。多くの農家は「作るだけ」で終わってしまい、価格や価値を自分で設定していない。だからこそ、農業を一つ一つ細分化して、解決策を見つけていくことが重要です。うちでは栽培方法をマニュアル化し、効率化を図りながら持続可能な農業を実現する取り組みを進めています。課題を解決するには、まずその課題に気づく力が大事です。課題を見つけ、どう解決するかを考え、それを実行に移す。このプロセスこそが、サステナブルで地域に根差した農業の基盤になると思っています。◼︎課題解決が私たちの使命「お客さんの課題を一緒に解決していく」というのが、私たちの一貫した信念です。自分が何者になりたいとか、農業界で1番になりたいとかそういうのは一切無くて。ただ、地域で「ありがとう」と言ってもらえるような課題解決や雇用の創出をビジネスとして続けたいという気持ちは強いです。むつ市での取り組みも、トマトを栽培したいからというわけではなく、地域が抱える課題を農業で解決できると考えたからなんです。地域社会に根ざしたビジネスを展開し、その中で必要とされる存在になることが、私たちの変わらない目標ですね。インタビュー日時2024年10月11日訪問先式会社寅福 代表 / 加藤夢人 氏 / 北海道桧山郡上ノ国町字大留13-1公式ホームページhttps://torafuku.co.jp/company