北海道伊達市で「サラダなイチゴ® (赤・白)」を栽培する森苑絵さん。新規就農から8年目の2025年、大切に育てたイチゴが「全国夏いちご選手権」(日本野菜ソムリエ協会主催)で見事銅賞に選ばれました。今回は3人のお子さんを育てながら農園を営む森さんに、就農の経緯、イチゴ栽培へのこだわり、受賞に対する感想などたっぷりとお話をお聞きしました。食への関心から就農、温暖で雪の少ない伊達市で夏イチゴ農家に 森さん:専業主婦として子育てしている時に、野菜ソムリエの資格をとったんです。その資格取得のための勉強の中で、もともと興味があった料理や食べること以外に「生産」や「流通」の科目がありました。そこで生産や流通も面白いな!と思ったことが就農のそもそものきっかけです。当時は札幌に住んでいたのですが、夫が突然水耕栽培に目覚めて、マンションのベランダに水耕栽培の装置を設置して、万願寺唐辛子やミニトマト、サニーレタスなど様々な野菜を育て始めたんです。私はその野菜を調理して、食べることが好きだったのですが、夫婦揃って「農業って面白そうだね」という話になりました。ちょうど夫の職場に近い室蘭~伊達エリアに移住することを考えているタイミングでした。調べると、伊達市では年間を通して様々な野菜が育てられていることを知りました。また気候も冬は比較的温暖で、雪も少なく、ハウスが倒壊するリスクも低かったんです。伊達市として新規就農の制度を整えていたのが養液栽培の夏イチゴだったため、伊達市で夏イチゴ農家として新規就農することを決断しました。↑ 我が子のようにイチゴを育てる森さん最初は興味がなかったイチゴが、我が子のような存在に森さん:農家になるなら野菜を育てたいと考えていたので、正直最初はイチゴってまったく興味がなかったんです。ただ、研修に入ってから、イチゴの花と葉っぱの緑と赤い実と蜂が飛んでいる風景が「なんて可愛いんだろう」と思うようになりました。特に夏イチゴの場合は栽培が難しく手も掛かるので、そういった点にも惚れ込みました。私の性格的に難しければ難しいほど燃える性格なので、もうゾッコンという感じですね。1年間の研修を経て、2018年に独立しました。自宅の横にハウスを3棟(合計10a)建てて、最初は3棟すべてすずあかねを育てました。最初の培地は、周りが使用していたのでピートモスを主体としたイチゴ用混合培地を選びました。ただ、今後ずっと続けていくことや、環境面、コスト面を考え、2022年からココカラさんのココピートに切り替えました(導入事例記事はこちら)。南国フルーツのような味わい「天使のいちご®️」も栽培開始森さん:もともと3棟すべてすずあかねを栽培していましたが、ある日新規就農の同期の農家さんが試験的に天使のいちご®️を栽培し始めたんです。その時にもらったのですが、まず見た目がなんて美しいんだろうという印象を受けました。口に入れてみると、南国フルーツのような味わいが口いっぱいに広がって一気に魅了され、私自身も育てたいと考え、1棟を天使のいちご®️に切り替えました。夏イチゴはただでさえ栽培が難しいですが、白い天使のいちご®️は見た目のごまかしがよりきかないので、ハードルはあがります。ただ、元陸上部で追い込むのが好きな性格なので、ハードルが上がると燃えますよね。困難がないと人生じゃないですから。笑↑ 森さんが育てる天使のいちご®️は、見た目が美しく南国フルーツのような味わいイチゴの可能性を広めたい「サラダなイチゴ®」として商標登録 森さん:私のイチゴは「サラダなイチゴ®」として商標登録しています。このネーミングの背景ですが、用途を提案するような名称にしたいと考えました。毎日のようにイチゴを食べる中で、どうやったらさらなるイチゴの魅力を伝えられるかなと考えたんです。すずあかねはもともとケーキによく使用されることもあって、乳製品と相性がすごく良いんです。日本ではフルーツを単体で食べることが多いと思いますが、すずあかねは何かとマリアージュして食べることで、その美味しさが最大限発揮できると考えました。私のおすすめはチーズと合わせてフルーツサラダとして、消費者の方に召し上がっていただくことです。味はもちろん、サラダにイチゴが入っていたらウキウキしますよね!伊達市は様々な野菜が収穫できるので、伊達市の野菜とのマッチングもバッチリです。そんな理由から「サラダなイチゴ®」と名付けました。一家の母でもあるので、食卓をイメージできるよう想像しながら辿り着きました。なので、実はライバルはミニトマトだったりするんです。イチゴが我が子のように可愛いので、話し出したら止まらないんですよ。↑ 素敵なパッケージとともに販売されているサラダなイチゴ®販路は地元の道の駅とネット販売、未利用イチゴはスイーツに 森さん:私自身、ギリギリまで熟させたすずあかねと天使のいちご®️の味が大好きなんです。ただ、農協さんを通じて出荷しようと思うと、一度仲卸市場にでてからケーキ屋さんや消費者の方に届くことになります。時間がかかるため、赤いすずあかねでも出荷時はまだ未熟な状態なんです。その状態のイチゴは私が本当に作りたい、消費者の方に届けたいイチゴではないなと感じ、今では地元の道の駅「伊達市観光物産館」で販売させて頂いています。やはり自慢の我が子は最高の状態で出荷したいです。 ↑「伊達市観光物産館」にて、イチゴとともに掲示される丁寧なPOP秋からはネット販売やふるさと納税の返礼品としてご提供する予定です。完熟ギリギリの状態まで育てると、どうしても販売できないイチゴが出てきます。出荷できなかったり、売れ残ったイチゴを活用したクッキーやプリンもプロデュースして販売しています。無理なく流通できるようにしたかったので、常温のスイーツにこだわりました。↑ 森さんがプロデュースした美味しいクッキー第一回「夏いちご選手権」で銅賞受賞、受賞をきっかけにもっとPRしたい森さん:丹精こめてイチゴを育てる中で、今年初開催された「夏いちご選手権」(日本野菜ソムリエ協会主催)に赤いすずあかねと、白い天使のいちご®️を出品しました。エントリーしたときは「うちの子が一番なんだから!」と意気込んでいたのですが、発表の日が近づいてくるとやはりドキドキしてきました。インスタグラムで私の天使のいちご®️が受賞したという結果を見た時には、嬉しいという気持ちと信じられないという気持ちでした。他の受賞者の方はみなさん赤いイチゴだったのですが、その中に一つだけ白いイチゴが食い込んだことも印象的でした。審査員の方からのコメントがそのままフィードバックされたのですが、すごく語彙力豊富に表現してくださったので、すごくありがたいと感じました。今回の受賞をきっかけに、「サラダなイチゴ®」をもっとPRしていきたいです。↑ 賞状とともに、喜びの気持ちを表す森さん論理と感情のバランスを取ることを大事に森さん:イチゴを生産する上で大事にしていることは、一番は私自身が美味しいと納得のいくイチゴをお客さんに届けることです。培地や水にこだわるということはもちろんのこと、論理的なことと感情的なことのバランスを取ることが大事だと思います。植物生理とか最新の栽培方法とか論理的な面はもちろん必要ですが、それだけに偏ってしまうとダメだと思うんです。パッケージが可愛いな、ネーミングがわかりやすいな、食べて美味しいな、そういった感情面もしっかり重視することで、お客さんにイチゴの美味しさがより伝わると考えています。パートさんにも手伝ってもらっていますが、基本的には私が一貫してブランディングから栽培、出荷、企画まですべて行っているので、その論理面と感情面のバランスが上手く保てていると感じています。うちの子(イチゴ)は可愛いので、その可愛さをどう上手く伝えていくかということを大事にしていますね。夏イチゴは適温から外れた栽培なので、本当に苦労は多いんですが、報われる瞬間がやりがいですね。今回の受賞もそうですし、美味しかったよというお客さんの声やリピートしてくださるお客さんの存在を目の当たりにすると、一生続けていきたい仕事だなと感じます。加工品の製造を委託しているのは、私自身がもともと好きだったお菓子メーカーさんです。来年は、今年受賞した天使のいちご®️はもちろん、赤いすずあかねも一緒にW受賞できるよう頑張りたいです。インタビュー日時2025年8月19日訪問先株式会社エコグルメ北海道 代表取締役 / 森苑絵 氏 / 北海道伊達市清住町公式インスタグラムhttps://www.instagram.com/salad715_hokkaido/