小川煕さんは千葉県栄町でトマトや枝豆を生産しています。2016年からトマト栽培を始め、その傍らでご自身が作った作物の直売所「NOLAND」を運営。2020年からココカラのグローバッグをご使用いただき、2024年には4作目を迎えます。今年で就農して8年目。同じトマト農家である家業を継がず、最初は敢えて独立した形で始めた小川さん。なぜそのまま受け継がなかったのか、また直売所「NOLAND」を始めた経緯について、お話を伺いました。(▲こだわりの直売所と、今回お話ししてくださった小川さん)◼︎最初に家業を継がなかったのはなぜですか?既存のやり方をそのまま受け継ぐのではなく、たとえば今ある直売所のように、自分なりの農業を始めてみたかったからです。私はデザインや見た目から入りたいタイプなんですが、その初期投資費用の感覚って世代によって違うじゃないですか。例えばホームページひとつとっても、今では簡単に作ることができますが、父親世代だと数十万かかるイメージでしたよね。就農してすぐに費用のことで認識のズレを解消するためにお互いが譲り合うよりも、まずは自分でやってみようというのが始まりでした。大学生で就職活動が始まる時期に、父の元でトマトづくりを2年間勉強させてもらって、大学4年生の後半くらいから自身のハウスを探し始めました。色んな市町村の農政課に電話で問い合わせて中古のハウスを案内してもらい、現在のハウスを見つけました。決め手は養液のシステムが既に入っていたことと、立地の良さですね。就農6年目に入って、結果的に父の家業を継ぐ形になりました。(▲パッケージにもこだわっているNOLANDのトマト)◼︎土耕栽培での研修を経て、養液栽培へ父は土耕栽培をやっていたので、養液栽培は初の試みでした。ただ、この辺りって養液栽培をやっている生産者さんは少なかったので、就農1年目の頃はネットで調べるほかに、トマト生産者さんのところに20軒くらいお邪魔して、勉強させていただきました。私が若いのもあってか、みなさんとても優しく色んなことを教えてくださいましたね。そこからコロナ禍に突入して訪問することも難しくなり、実際に育てながら独学で栽培方法を勉強しました。こうして栽培方法を勉強する中で、今の栽培方法に辿り着きました。培土で栽培するなら、病気が出ないように何年かに一度は入れ替えができるバッグがいいけれど、変える作業はとても大変。ココカラのグローバッグは力持ちじゃなくても一人で運ぶことができるので、とても助かっています。水やりの環境さえ整っていれば床にポンと置くだけで使用できる。なので、空きのハウスができた時に違う作物を栽培することができるなど、臨機応変に組み替えができるのも嬉しい。あと、急に必要だとココカラさんに連絡しても、すぐに対応してくださるのはすごく助かっています。(▲NOLANDのトマトハウス)◼︎直売所を始めたきっかけや想いを教えてください。今ある直売所は、元々は高校時代に父の農作業をアルバイト感覚で手伝っていた時の経験がきっかけになっています。もともと父は直売をしていなかったのですが、倉庫の一角で箱詰めしているとお客さんが購入しに来てくれることが頻繁にあって。一度買いに来てくださった方が父のトマトを褒めてくれたり、リピート購入してくださると、なんだか自分のことのように嬉しかったのを覚えています。自分が作ったものに人が集まってくれたり、美味しいっていう言葉を消費者の方から直接聞くことができるスタイルを作りたいと思って、この直売所は生まれました。現在、地域の皆さんに愛される直売所となりました。トマトの味がいい時も悪い時も、そのほかに資材代などが原因で値上げしたことがあっても、皆さん変わらず来てくださるんです。トマトを購入しに来てくれたのに、手作りのお菓子やお料理などをいただいたりすることも。3世代で来てくださるお客さんのお子さんの成長も私の楽しみのひとつです。最初抱っこしてもらっていた子が成長して、一人で自転車で買いに来てくれたり、お手紙をもらったりしたこともあります。直接の関わりがあることも直売の面白さであり、私のトマトづくりのやりがいにも、つながっています。あと、廃棄がないことも直売のいいところですよね。傷ものなども捨てずにB品として売ることができますし、販売の単価も自分で決めることができます。直売所は新しい農業の選択肢としてぜひ他の方にもおすすめしたいです。実際に、私の周りの生産者さんの中でも数名の方が新たに直売所を始めました。(▲NOLANDの直売所)◼︎売上の一部で保護猫活動もこの辺りの地域は野良猫がたくさんいるのですが、どうしても子猫がたくさん産まれる時期があるんです。私自身猫が大好きなので、直売所での野菜の売り上げの一部を保護猫活動に寄付しています。野菜を購入することが、間接的に保護猫支援につながればと思って始めました。この保護猫支援のイラストはイラストレーターさんに書いてもらったんです。可愛いでしょう。最初お話ししたように見せ方を追及することが好きなので、こういった心が動かされるデザインは、商品そのもの以外にもこだわりを持っています。イラスト資料)@monaka.graphi9 (Instagram)(▲NOLANDの保護猫活動のイラスト)◼︎小川さんの今後の展望を教えてください。安定したトマトの味をお届けすることは、これからも絶対条件として掲げていきたいと思っています。最初の1年目は直売所にお客さんがなかなか来なかったのですが、おいしいトマトを作り続けた結果、お客さんがお客さんを呼び、今では県外からのお客様もいらっしゃるようになりました。この味は担保しつつも、現在は完売してお断りしてしまう時期もあるので、今後はより多くの方にお届けできるようにもしていきたいですね。栽培規模の拡大や技術を向上していくことがこれからの課題です。あとは収穫した作物の加工品や、お客様に楽しんでいただける商品も考えていきたいです。他の作物では加工品をよく出しているのですが、トマトの加工品は現時点でなかなかピンとくるものが無いんですよね。代わりに、ギフト利用できるサイズの箱を展開したりしています。Instagramで紹介したときに「可愛かったのでギフトとして買いに来ました」って来てくださることもありました。そういった遊び心でお客さんに楽しんでいただける直売所をこれからも目指していきたいです。インタビュー日時2024年3月13日訪問先NOLAND / 小川煕 氏 / 千葉県印旛郡栄町龍角寺 1106公式ホームページhttps://no-land.jp/Instagramhttps://www.instagram.com/noland_tomato/