2019年に東京都日野市の住宅街である生産緑地で新規就農。「お隣さんちでとれた野菜だよ!」東京でもそれくらい近い距離感で畑と食卓が繋がることを目指し、「街の行きつけ農園」として野菜を栽培・販売するNeighbor’s Farm代表の梅村桂さん。2020年からココカラピート(グローバッグ、CP4)をトマトの養液栽培にご使用いただき、2024年には4作目を迎えます。メディアなど活躍の幅も広がっている梅村さんに、新規就農を目指す方々も気になるお話を伺いました。■梅村さんにとってトマト栽培の魅力とは何ですか?ひと口に農業とはいえ、「トマト屋さん」と「ブドウ屋さん」はまったく違う職業と言えるほど、何を栽培するかで違いがあります。トマトを選んだ理由として、研修先で色々野菜を経験する中で、細かい調整を必要とする栽培方法が、性格的にも「これは自分に合う」と感じたからです。狙った通りにできたトマトは、幾何学的な整った綺麗さがあり感動的。どんな野菜でも、曲がったりするのは何かしら成育が悪いということなので、美しく美味しいトマトを作るため、日々のデータと試行錯誤しています。わずかな温度変化、水によって、植物はすぐ反応が表れるから、実験的な要素が強く夢中で、とにかく面白い仕事です。■栽培の課題や工夫はありますか?ココカラピートは繊維が均一なので、生育の土台である根張りがしっかりします。水分量を調整しながらストレスをかけ、サイズを抑えておいしいトマト作りを目指しています。毎年、灌水を始める時間、やる時間、量について、四六時中微調整や記録を重ね、今年ようやく特性が掴めてきました。もし、ココカラの24Lグローバッグユーザーの方がいらしたら、情報交換できる場があればと思っています。グローバッグ入れ替え作業は、スタッフに大きな体力的負担がかかります。そのためすべて一気に入れ替えはせず、毎年、都度一部ずつ入れ替えるようにしました。使用年数によってグローバッグの水捌け具合が異なることから、本来は全グローバッグを変えた方が栽培管理はしやすいのですが、農園には水槽が3つあるので、1年目、2年目、3年目それぞれのグローバッグへの灌水量は調整可能です。また、水捌けが悪くても大丈夫そうな品種の栽培は、3年目のグローバッグを使用する工夫もしています。▲ハウス内の様子■酷暑に負けないための対策はありますか?今年は記録的猛暑日が続き、気がつくと4、5段目で(葉っぱが)「ちょりちょり」になってしまいました。異常気象レベルの酷暑に対してすぐに対応をとることは困難です。しかしながら、排液計測など環境の記録を取っていれば、灌水の切り上げが早すぎたなどの原因特定が可能で、来年の暑さも今年とそう変わらないでしょうから、来年度も同じ定植期の対策として生かせます。もし、栽培環境記録をせず「なんとなく暑かった年」と記憶頼りにしてしまった場合、必要な灌水の改善対策に気づくために何年もかかるか検討もつきません。こだわりを持っているトマト農家は皆さん、綺麗で美味しいトマトを目指し、勉強、改良を重ねておられます。毎年良いトマト作りを続けることが、モチベーションにもなっています。私自身は「人生はあっという間であり、1年に1回しかできないトマト栽培。農業は自然相手であり、何年やっても多分100点は取れない。正解がないからこそ、正解があったら面白くない。」という心で対峙しています。■「生産者と消費者が有機的に繋がる」とはどんなことですか?1つ目は基本的に野菜は絶対に求められ、人が生きるために必要性が高いものということが活動の根源にあります。「野菜はいらない」という人はいませんし、いい野菜を作れば、絶対に必要としてくれる方がいます。2つ目は人と人の関わりも豊かで「本当に毎日お疲れ様」「お野菜ありがとう」ってお客さんとかに毎日言っていただける機会があります。世の中には多くの仕事がありますが、農業を始めた頃から変わらず、この2つは持続的で貴重な「やりがい」にもつながっていると思います。気候の良い時期、外で収穫すると気持ちがいいですよ。もちろん暑い時期と寒い時期は作業もしんどいなあと思いながらも、以前は閉鎖空間でパソコンと向き合う環境だった時は体調が悪くなったことがありました。日本の四季の移ろい、太陽の豊かな恵み、また厳しさも感じる自然と都市が混じり合う環境が私には合っています。▲ハウスの目の前にある、ネイバーズファーム直売所■仕事のゴールは?今の時代は、かつての「農業はこうあるべき」という形だけにとらわれず、IT化の恩恵を受けた世代が、自分で自由に販売とかイベント開催するなど楽しいことがいっぱいできます。農業の価値が上がっていると思います。消費者との接点が1番のポイントだと思うので、消費者の意識が変わるような農家であるということを1番目指したいです。消費者が生産ともっと近い距離で理解を深めるような存在でありたいので、そこに向けてできることをやっていきます。インタビュー日時23年11月1日訪問先東京都 日野市 / Neighbor’s Farm / 梅村(川名)桂 氏 (高幡不動駅より徒歩10分公式HPhttps://neighborsfarm.tokyo/Instagramhttps://www.instagram.com/neighborsfarm/