三須トマト農園の代表である三須一生さんは、30代で100年続く実家の農家を継承。これからの農業のあり方を追求したいという熱い想いで、2015年に「三須トマト農園」をスタートしました。自社店舗や移動販売、都内マルシェ等の野菜売り場でも広がり成長を続けています。それだけに留まらず、2023年より新たにイチゴ栽培もスタートした三須さん。イチゴの栽培にもココカラピート(グローバッグ CP2)をご使用いただいており、甘い香りが漂うハウスでは、完全貸切が可能なイチゴ狩りを実施。地元である船橋の新たな注目スポットとして、メディアにも多数取り上げられています。今回はインタビュー第二弾として、イチゴ栽培についてお話を伺いました。(第一回の記事はこちら)▲2023年より新設したイチゴハウス■トマトとイチゴの栽培の違いはありますか?トマトに比べ、繊細だなと感じます。トマトはとにかく光合成を少しでも多くさせることが大事なので、1パーセントでも光を多く与えて、炭酸ガスもどんどん与える。そうすれば、必然的に収量も上がるし、味も乗るんです。一方でイチゴは、単純に光や炭酸ガスを与えれば良いというわけではなく、栄養成長(植物の体を大きくしていく成長)」と 生殖成長(子孫を残すために花芽を作っていく成長)のバランスを考え、イチゴを休ませる時間も必要なので、難しいです。栄養成長に傾きすぎると、光合成で作った養分が木に傾いて花がつかず、実もつかなくなってしまします。あと、12月のクリスマスシーズンの収穫を目指すとなると、苗を冷蔵庫に入れて季節を勘違いさせる必要があったりと、トマトではしたこともないような管理が必要となるので、イチゴは変わった植物だなぁ、と思います。それでも、栽培の手間という側面で見ると、トマトに比べ、イチゴの方が手間がかからないということも分かりました。例えば、栽培から収穫までの期間。トマトは年間で20段以上獲れますが、イチゴは 9月に定植をして4月下旬には収穫が終わるので短期間の作業で済みます。また、トマトのような葉かき作業もないのでイチゴは私1人でできます。肥料もトマトは上限なく吸ってしまうけどイチゴはそうではない。燃料費の面でも、トマトであればハウス内の温度管理も12度を絶対切らないように管理が必要ですが、イチゴは8度を切るか切らないかという管理で大丈夫です。その違いだけでも、肥料、燃料の使用量が全然違ってきます。総じて、イチゴはトマトに比べて人件費、肥料代、燃料費が少なくて済むな、と実感しています。■イチゴ栽培もココカラピートで知り合いのベテラン イチゴ農家さんがココカラバッグを使用していたこともあり、迷うことなくココカラピートを導入しました。お客様や取引先の方に対し、「培地としても性能だけでなく、培地の製造背景にある“インドの女性の雇用拡大に貢献している”というブランドストーリーに共感し、培地にもこだわってイチゴを栽培していることを説明しています。 女性スタッフも多い私たちの農園にとって、この背景はしっくりきています。私自身も、ココカラ製品の使い勝手の良さはトマトの栽培を通して理解していたので、イチゴを始めると決めた時にはココカラさんへすぐに相談しました。▲三須さんが育てるイチゴ■三須イチゴ農園でのこだわりや、目指すことはなんですか?1月にとれる品種と3月に取れる品種と作付けをずらすため、「紅ほっぺ」「章姫」「かおり野」「やよいひめ」「おいCベリー」の5種のイチゴを育てています。イチゴ狩りでは、「農業にも触れてもらうこと」が目的なので、1時間あたり1組の予約、最大10名の貸し切り利用を可能にしており、食育や農作業のレクチャーも入れています。また、幅広い世代の方と関わりを増やすことも目指しており、「大人のイチゴ狩り」企画もやりたいと思っています。例えば、キッチンカー設備が整えば、これまでのトマト栽培でのワインソムリエの方との繋がりやレストラン経験を活かして、小規模なパーティができるかなとか。都市型農園だからこそ、常に新しい潮流が生まれて繋がることができます。そして、次世代へのバトンとして農園の価値を高め、体験を通して教え伝えていく場所を目指したいです。▲夕暮れ時の三須イチゴ農園■三須さんの考える、都市型農園とは?「もっと狭い範囲での地産地消を実現していきたい。地元で作った野菜は、まず地元の方々に食べてもらいたい。」という強い想いが昔から変わらずにあります。船橋の野菜は、生産者の手や心が行き届く規模の畑でしっかり作られているので、味も見た目もクオリティ高いと思うんです。だけど、都心のスーパーにはいろんな産地の野菜が並びます。そんな中で、船橋の野菜を船橋の人に食べてもらうためには、まず「食育」が必要だと考えました。実際に、うちのイチゴ狩りに来てくださったお客様から、「スーパーのイチゴは例え高級品であれ食べなかった子供が、三須さんのイチゴ狩りで食べた、採れたてのイチゴをとても気に入っている」という声をいただいたこともあります。「採れたて」と「店頭に並ぶ」タイミングの違いは見た目の色にも味にも顕著にでます。農園に来ていただければこういった情報を伝えることができます。船橋の野菜のクオリティの高さ、味はもちろん、見た目も綺麗な良い野菜がすぐそばにあることを知らないのは、作る側も食べる側も勿体無いですよね。▲農業のこれからについて沢山お話してくださった三須さん■次世代へ向け、ワクワク学べる都市型農園にーメロンにも挑戦予定トマト狩りとイチゴ狩りが両方できる農園は珍しいと思うので、この農園が学びの場となるよう、「食育」において地域連携をより深めていきたいですね。イチゴの栽培が終了したら、次作の定植(9月)が始まるまではメロンもやってみようと思っています。8月のお盆が収穫期なのでメロン狩りもできるようにしたいなと。8月はトマトもしっかり実って美味しい時期なので、お越しいただくお客様の満足度にも繋がると良いなと考えています。ー今後も引き続き食育に注力したいこれまでも、私たちの農園で夏祭りイベントを実施したり、夏休みの宿題のテーマとして三須トマト農園での農業体験を選んでもらったりと、農業の楽しさやとれたての野菜の美味しさを消費者の方に知っていただいたという実感があります。船橋の中学校の先生をハウスにお招きして、栽培の様子などを説明したこともあります。私の妻も農林水産省の農業女子プロジェクトの食育活動グループとして、子供たちに食育の絵本の読み聞かせイベントで農業に触れる機会をPRに繋げており、夫婦で食育活動ができています。まだまだ色んな切り口があるので、一つ一つの食育活動が、食卓の豊かさへ繋がっていけば良いなと思います。 ▲こどもの日にちなんだ「お仕事体験イベント」の様子インタビュー日時2024年1月31日訪問先船橋市 / 三須トマト農園 三須一生 氏(西船橋駅より徒歩15分)公式ホームページhttps://misu-tomato.com/Instagramhttps://www.instagram.com/misutomatofarm/