三須一生さんは、大学時代から飲食業で新規出店や人事担当として働いていました。30代で100年続く実家の農家を継承し、これからの農業を見据え、成長する農業のあり方を追求したいという熱い想いで、「三須トマト農園」をスタートしました。2021年よりココカラピート(グローバッグ CP4)をトマトの養液栽培に使用いただき、2024年には4作目を迎えます。地元2拠点の自社店舗や移動販売、都内マルシェ等の野菜売り場でも広がり成長を続ける三須さんにお話を伺いました。■ 飲食業界から農園継承へ農業をする前は、ハワイアンバーガーレストラン「クア・アイナ」事業部で働いていました。美味しいものを出して喜んでもらうことが好きで、大学時代もずっと飲食のバイトをしていました。クア・アイナでは、新規出店などを担当し、多くの自己成長機会に恵まれ、飲食ビジネスでのキャリアを積んできました。その後、農家の長男なので実家に戻ることに。世間では植物工場など養液栽培へ注目が高まっていることもあり、千葉大学園芸学部の講習会に参加。講習会では農学博士である池田秀男先生にもお世話になりました。そして、施設園芸業界の先駆的総合メーカーの誠和で修行し、トマト栽培を始めました。実家がある船橋市は、葉物の生産が盛んであることや、都市部という限られた土地面積であることを考えると、養液栽培は新たな試みでしたが今後の農園の成長を見据え、正社員の雇用・育成もしています。また、繁忙期はパートさんも沢山集まっていただいています。飲食業界の経験もあり、人に教えることは好きですね。現在の販売先は、自社の店舗とマルシェの2拠点に加え、パンなどの加工品は移動販売、オンラインサイトもあり、各チャネルのお客様ニーズに合わせて販売しています。また、大手スーパーでも地元産トマトとして認知され、都内マルシェでも販売しています。リピーターが増えることが作り手としての喜びに繋がります。■培地を選ぶ際に求めることは?就農当時は、養液栽培の培地にロックウールを使用するのが一般的でした。しかし、廃棄の難しさに大きな課題を感じ、いくつかのヤシガラ培地での栽培テストを開始しました。ココカラの製品に出会った時、ココナッツの生産国であるインド農村部で作られ、そこに暮らす人々の生活向上や雇用につながるという背景に興味を持ちました。さらに、トマト栽培に適した膨張具合で、茎や葉の土台作りが安定する点、大きさの違う粒を配合した団粒構造なので、空気含有率も高く培地内が酸欠になる心配も少ない製品であることがわかりました。既にヤシガラ培地を導入している生産者仲間の方からも使い方のポイントを教えてもらい、使用するイメージができたことや、女性スタッフの負担軽減策として取り扱いやすいサイズであることなども決め手となりました。■達成したい目標は?「ここ数年、農業体験が求められている」と分析しています。うちの農園では、トマト狩り体験を実施しており、人気があります。参加者の中には、専門的な質問をしてくださる方もおり、作物への高い意識や関心が伺えます。また、昨年は、近隣の小学校に声をかけてもらい、食育も実現しました。実際にお子さんに農園に来てもらい、トマトの収穫体験をし、それを夏休みの宿題のテーマとしてまとめるという活動です。最近では、浦安市内メルセデスベンツのディーラーにて行われたイベントストアにも出店しました。おしゃれでこだわりのある自然派のオイルやシアバターなどと一緒に、うちのトマトも並べさせてもらい、お客様にも好評で嬉しかったです。「船橋の中でトマトといえば、”三須さんの農園”という認知が広がって、農園の体験価値で、地域コミュニティがもっと活性化できれば」と考えています。交通アクセスなど農園の地理的条件に恵まれていますので、もっと地場の可能性を広げていきたいです。▲ミニトマト狩りを通じて学ぶ園児たち■仕事のゴールは?「たとえ、私たちの農園がキャリアのステップアップでも構わない。繋がってビジネスしても面白い。農業はまだまだ伸びる業界。人を育て、もっと自由にいろんな方向にできるよう感じてもらえれば。」という思いがあります。今季から新たに、いちごの栽培もスタートしました。いちご狩り観光や、スイーツへの加工まで、トマトに比べて、フルーツ特有の体験価値があります。いちごの旬の時期は、トマトも美味しく収量が多い時期とも重なりますから、お越しいただくお客様満足度にもつながります。観光やレストランなど新たな農業体験、加工品に力を入れ、地域観光客、購買層の拡大に期待しています。「お客様が喜ぶことは何か?」をゴールと共に、「自分たちらしい農業」を日々積み重ね、もっと農業の魅力を更新し続けて行けたらと思います。取材日2023年5月26日訪問先千葉県船橋市 / 三須トマト農園. 三須一生 氏(西船橋駅より徒歩15分)直売所の営業時間月水木金:9-17時 / 日:9-15時HP URLhttps://misu-tomato.com/SNShttps://www.instagram.com/misutomatofarm/