福島県二本松市にある「農業生産法人 まるなかファーム株式会社」で農場長を務めておられる佐々木澄江さんと、2024年より新卒で入社された桑島大智さん。まるなかファームではいちごの観光農園を展開しており、2017年からココカラのスラブをご使用いただき2024年には7作目を迎えます。また、2024年5月より併設カフェ「まるなカフェ」もオープン。栽培だけでなく、カフェの運営も担当しておられる佐々木さんと、まるなかファームで初となる、新卒入社の桑島さんへ、農業に対する想いや展望を伺いました。▲インタビューを受けてくださった佐々木さん(左)と桑島さん(右)イチゴの栽培を始めたきっかけは何ですか?佐々木さん:私の実家がイチゴ農家で、幼少期から実家のお手伝いをしていたんです。でも、そのまま家業を手伝うという選択肢はあまりなくて。「農作業だなんて!」と、当時は他の仕事を転々としていました。でも、色々な仕事をしてみたけどなんだか落ち着かなくて、「やっぱり農業だな」とここに戻ってきたという感じです。今では、お給料をいただきながらイチゴを作れるなんて有難いなと思うほどです。桑島さん:僕の実家は果樹農家で、僕も幼少期から家業の手伝いをしていました。そうして手伝いをしている中で自然と農業に興味を持ち、農業高校、農業短期大学へと進学しました。農業高校では畑作を、農業短期大学では稲作を中心に学んでいましたね。学校で学んでいく中で観光農園について興味を持ちました。そこで、イチゴの生産法人で観光農園でもある、まるなかファームへの入社を決めました。就職先を探すのは、大学の先生にもサポートいただきました。今年の2月からまるなかファームで研修をさせていただき、4月から正式に栽培担当として働いています。農業学校に通っていたと言えど、まだ入社して間もないので、わからないことは多いですね。▲まるなかファームのイチゴ今期よりファーム併設の「まるなカフェ」もオープンー「まるなカフェ」とは、どんなカフェですか?佐々木さん:2024年5月25日にオープンしました。まるなかファームでのイチゴ狩りは1〜5月と限られてしまいますが、カフェでは年間を通してまるなかファームのいちごを使ったメニューを食べることができます。また、まるなかファームでは昨シーズン20品種ものイチゴを栽培していました。その品種の多さを活かし、カフェでは12品種の中から3種類の品種をお客様ご自身が選べるスムージーも発売しています。さらに、スムージーの中には12品種のオリジナルイチゴソースも準備してあるので、選んだ品種とともにソースも入ります。まだオープンして間もないですが、テレビでも取り上げていただき、順調な出だしを切れたのではないかなと思います。本当に有難いですね。▲まるなカフェの店内の様子。写真左手にあるショーケースには12品種ものイチゴが。ー手作りイチゴソースの秘話佐々木さん:カフェのスムージーに使用しているイチゴソースは、私の「オリジナル」レシピで作らせていただいております。実家がイチゴ農家で幼少期はよく家業を手伝っていたという話をしたと思うのですが、その頃からイチゴソースのレシピを自分で考えたりしていました。その経験を活かして、まるなかファームでもイチゴのソースを作りたいとずっと思っていて、その想いは社長にも伝えていました。ですが、なかなか実現できそうなタイミングがなくて。今回、カフェを運営することになり、やっとその夢も叶いました。作りたてのソースは本当に美味しいんです。品種によって味も違いますし、多くの方に食べていただけるよう、ソースを使用したメニューをもっともっと増やしていきたいです。こうして自分で考えて、責任持って成し遂げる。イチゴの栽培から販売までやらせていただける、当園だからこそ叶えられたことだと本当に思います。社長をはじめ、スタッフのみんな、いちごが大好きなかけがえのない仲間たちです。これからも大切に、輪が益々広がっていけたら嬉しいです。▲まるなカフェのスムージーお二人の今後の展望は何ですか?ー佐々木さん:『カフェ事業に注力したい。そのためには人材マネジメントも重要』佐々木さん:新規事業であるカフェの運営に注力していきたいと考えています。PRとして、イベント参加などもこれまでよくしていましたが、〇〇展みたいなイベントにも出展してみたいです。全国飛び回って当園のアピールをしたいですね。そして全国からいちご狩りに来ていただく。ただ、そのためには商品力、販売力がとても必要なので、まずはそこが課題ですね。あと、栽培はこれまでのようには手をかけられなくなると思うので、他の従業員さんに任せる必要があります。そうなると、従業員さんのマネジメントも課題になってきますよね。どうすればみんなで同じ方向を向いて進めることができるのか。栽培も大事ですけど、やっぱり気持ちが一番大事だと感じています。いくら色んな技術があっても、それだけではすべてうまくいかないのが農業です。私どもの従業員のほとんどは子育て世代の母親ということもあり、栽培にもそれが生かされていると感じます。観察する、会話する、相手(作物)の目線に立って、という農業になにより大事なことが自然にできているんです。今はカフェもできて環境が大幅に変わるフェーズですが、そんな中で入ってきてくれたのが桑島さんなんです。学生時代は農業についてたくさん学んでいて、新卒ながらにビジョンもあり、とても頼もしいです。まさにイチゴ王子ですよね(笑)。本当にしっかりしているので、早速、栽培において大切な消毒作業をすべて任せるようになりました。農薬の選定から、散布まで。とても重要なお仕事ですが、自分なりに考えてやってくれています。今後は栽培の肝となる育苗もお任せする予定です。ー桑島さん:『農業界の人手不足を解消したい』桑島さん:僕は、家業の手伝いや、農業学校で勉強をする中で、人手不足が農業の課題だと感じるようになりました。じゃあ「どうすれば次世代の農業の担い手が増えるのか」を僕の中で考えた結果、まずは色んな人が農業に触れるきっかけを作っていく必要があるという結論に至り、そのためには、いろいろな体験のできる観光農園が良いのではと考えました。現在はイチゴのみの栽培ですが、イチゴ以外の作物も育てて、栽培作物や体験できる種類を増やしていきたいなと思っています。体験農業では、そこで育てた野菜をカフェで調理して食べるという流れを作りたいです。こうした6次化はたくさんの人との関わりができ、運営側もおもしろいし、必要なことだとも思います。結局、生産者は「美味しい」という言葉がやっぱり一番のやりがいだと思うので。いろんな作物を栽培するためにも、まずはイチゴの栽培を1年間頑張りたいなって思っています。他にも僕の課題は山積みです。学校ではGAP(https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/)の範囲内のことを学びましたが、実際の現場では不十分なところもまだまだあるなと感じています。僕はJGAP指導員の資格を持っているので、まずはそれを反映していきたいです。ビジョンを実現するためには、学ぶことも、実際の方法を考えることも必要ですし、企業として売上も考えていく必要があると思っています。プレッシャーもありますが、自分の考える農業の課題を解決したいので、一つ一つこなしていけたらと思います。▲まるなかカフェの外観 ▲イチゴのなっているハウスインタビュー日時2024年6月20日訪問先〒969-1404 福島県二本松市油井字無地ノ内30-1 / 佐々木澄江 氏・桑島大智 氏公式ホームページhttps://marunakafarm.co.jp/Instagram▼まるなかファームhttps://www.instagram.com/marunaka_farm/▼まるなカフェhttps://www.instagram.com/marunacafe_15/