長野県諏訪郡にある夏イチゴのファーム「高原のエコーズ」さん。2024年からココカラのグローバッグとブリケットをご活用いただき、現在1作目です。今回は「高原のエコーズ」の代表である鈴木慎吾さんから、栽培方法やおいしいイチゴの定義、さらに今後の目標について伺ってきました。栽培環境づくりの鍵は、培地を“汚す”ことー夏イチゴを選んだ理由植物が育つ上で環境はものすごく大事。そこがすべてのスタートラインだと思っています。この地域のポテンシャルを引き出せる作物を探した結果、イチゴがベストだと思い、栽培を始めました。ー健康な土づくりの秘訣中でも培地を育てることは非常に重要。無機物的な要素が強い培地に腐植物質を加え、有機物である良い菌が増えるような環境を整えることが鍵だと思います。これを私は微生物の力で培地を“汚す”って呼んでいます。培地から放線菌の匂いがするようになったら、それは健康な土だという証拠なんですよ。微生物が定着してくることで、培養土自体が育ち、次第に作物の健康にも直結していきます。新品の培養土には放線菌の匂いがないんですよね。だからこそ、最初の1年目の培地はとにかく“汚す”ことを意識しています。実際に使用しているココカラの製品も、導入から4ヶ月くらいたちますが、放線菌の匂いがしてきています。順調に育ってきていますね。2年目が楽しみです。▲高原のエコーズのハウス美味しさと収穫量どちらも「夏イチゴを当たり前のフルーツに」おいしいイチゴというのは単純に糖度が高いだけじゃなくて、味の濃さやその品種が持つ本来の風味がしっかりと引き出されていることだと思うんです。トマトなど別の作物でよくある、ダメージを与えることで甘さを引き出すっていう理論は、イチゴという作物には通用しないんですよ。イチゴは水分が豊富な環境で育ち、実に栄養が十分に行き渡ることで、初めてそのポテンシャルを最大限に発揮できるんです。だからこそ、おいしいイチゴを作るためには、まずイチゴが健康で元気に育つことが大前提だと思っています。また、収穫量とおいしさは比例します。イチゴの健康状態が良ければ、それに伴って収穫量も増えますし、その結果としておいしさも向上する。だから収穫量もおいしさも、どちらも大事。収穫量を減らすことでおいしくする高級フルーツのような育て方も稀にありますが、それはイチゴが本来持っている味ではないんじゃないかと思うんです。最終的には「夏イチゴを当たり前のフルーツに」することが私の目標です。▲高原のエコーズの夏イチゴ今後の展望ー未開拓な農業界に新たな価値を農業界って、まだまだ手付かずな部分が多いなって感じています。だからこそ、ここには新しい可能性があるんじゃないかと思っているんです。これを私はレッドオーシャンじゃなくて、“ブルーオーシャン”って呼んでいるんですけど、この未開拓な業界で、今後もどんどん挑戦していきたいと思っています。ー得意分野を活かした指導で農業をサポート就農前は、空手のコーチと音楽活動をしていました。バンドを組んで、楽曲提供なんかもしてたんですけど、なかなかそれだけで食べていくのは難しかったんですよね。その分野の才能があって得意な方は、他の人が困難と感じる部分も簡単にこなせてしまう。そんなことを考える中で、自分が本当に得意なことは「人に何かを教えること」だなと感じるようになりました。今後は、この自分の得意なことを活かして、農業界での生産者の指導やコンサル業にも力を入れていきたいと思っています。特に、農業の右も左もわからない人たちをサポートしたいですね。自分が基本を知らないまま独学で就農して、めちゃくちゃな目に遭いまくって苦しんだので。一方で周りを見渡すと、新規参入者は割とそういう人が多くて、わざわざ同じ間違いに何年も費やしてほしくないなって気になっちゃって。絶対にやっちゃいけないこととか、自分の失敗を教えたいなと思っています。そうして基本を身につけることで、応用や独自の工夫も早くできるようになるといいなと思います。また、私がコーチングで大切にしているのは、技術だけでなく、気持ちの部分も含まれます。やらされている感覚ではいい作物は育ちません。生産者が植物と向き合い、栽培の楽しさを感じることが、最終的には収穫物のクオリティにも繋がっていくんです。だからこそ、農業に取り組む人たちが基本を大切にし、楽しみながらその基本を実践できるようなサポートをこれからもしていきたいと思っています。▲栽培について詳しくお話してくださっている鈴木さん。鈴木さんは「農業楽しいよレイディオ」と題し、YouTube配信も毎週行っています。農業というテーマを主軸に、近況報告や農業に対する考え、リスナーからの質問回答など、幅広くえのきじまさんとお二人で語り合っています。ぜひご覧ください。YouTubeチャンネルはこちら▲YouTube配信「農業楽しいよレイディオ」。思わず笑ってしまうような面白いお話から農業の専門的なお話まで幅広く聞くことができます。インタビュー日時2024年7月4日訪問先高原のエコーズ 代表 / 鈴木慎吾氏 / 長野県諏訪郡富士見町境1270−1公式ホームページhttps://www.kougennoechoes.com/Instagramhttps://www.instagram.com/kougen.no.echoes/