タミルナドゥ州中央北部に位置する、インドでも有数のココナッツ産地セーラム。その市街から約37キロにあるヴィルタサンパッティ(Viruthasampatti)で、2023年7月1日、ココカラ合同会社の新規工場「ココカラインド セーラム工場(Selam facilities)」のオープニングセレモニー(開所式)が行われました。はじまりはココナッツ農家の自立支援プロジェクト2021年、ココカラはJETROの支援によってヴィルタサンパッティに小型ココピート製造機を設置し、近隣の小規模ココナッツ農家が各自のココナッツを持ち込んでココピートを共同製造できるシステムを構築しました。(【JETRO✖️ココカラ】ココナッツ農家の課題と環境問題のためにココカラが行ったこと)<ヴィルタサンパッティ。南インド内陸部、セーラムから約37キロ>それから2年、当時ほとんど知識もスキルもなかった周辺ココナッツ農家たちは、ココカラインド代表のムルガンの指導によって、この小さなココピート製造機を共同で使用し、自分たちの力で生産運営ができるようになっていました。これは、ココピートの生産性を上げるというだけではなく、農家の方たちが自立して生産ができることへの自信につながったと、ムルガンは言います。この取り組みの噂は、近郊農家にも広がり、同様の施設を作ってほしいというオファーも増えているとのことです。施工期間1ヶ月!真夏のインドでチームとして団結。今回、モデルケースとなったヴィルタサンパッティの可能性を感じたココカラ代表の大原は、さらなる生産拡大の拠点として、ここに新規工場を設立することを決めました。13m×17m×6.5m(高さ)のシーヴィングエリアと、22m×24m×10m(高さ)のメイン生産工場を設置し、最新の機材を導入。また、全体の敷地面積を3エーカーから10エーカーに拡大し、ココピート貯蔵エリアもこれまでの3倍の面積となり、年間を通してさらに安定した製品供給ができるようになります。工場と新規機材の導入については、ムルガンとポンディシェリのエンジニアたちが約6ヶ月間で全体的な構想を立て、5月下旬に着工。南インドでは一番暑い真夏の猛暑の中、1ヶ月という驚くべきスピードで完成させたと言います。ポンディシェリーからのエンジニアや、ココカラの従業員、また地域の人たちの協力と努力があったからこそ成し遂げられたことです。建設、機械導入に40~50人の人たちが関わり、シフトを組んで昼夜問わず作業をしてくれました。本当に心から感謝しています。オープニングセレモニーとなったこの日、プロジェクトを主導したムルガンは、プロジェクトに関わった人たちやその家族、サポートしてくれた方々を招待し、ココカラの新たな門出を祝うとともに、関係者たちへの感謝のお披露目会となりました。午後12時過ぎに大原代表によるテープカット、ムルガンの奥さん主導によるプージャ(儀式)が行われ、その後、集まったすべての人たちにランチがふるまわれました。また、セレモニーには、ムルガンがサポートをするスリスティ・ビレッジの創業者カティッケヤンさんも、ポンディシェリからご家族を連れて参加していました。<伝統的な儀式でオープニングを祝う><近くのコミュティーホールで南インド式ランチ>地域を支え、支えられることで生まれるココカラピートココカラの工場拡大は、近郊のココナッツ農家たちの雇用を産み、彼らの安定した生活をサポートすることになります。今回のオープニングセレモニーには、提携工場のオーナーやこの土地のオーナー、ココカラの従業員から周辺に住む村の人たちもかけつけ、JETROプロジェクトから地元のココナッツ農家を盛り上げ、生産力を確実に上げてきたココカラに寄せる期待感のようなものを感じました。小さな試みと丁寧なサポートがココナッツ農家たちの意識を変え、自分たちの取組みがココカラの事業拡大に貢献しているという自信となり、ココカラの成長とともに地域が活性化していくという希望を見出しているのだと思います。ココカラでは、ココナッツに関する知識や、ココピート製造における技術指導など、ココナッツ農家の方々が世代を超えて長期かつ持続可能な生産ができるためのサポートにも、これから益々力をいれていきます。ココカラが提供する高品質のココカラピートの背景には、このような多くの人たちの協力や生活があることを改めて感じさせる一日となりました。