<目次>トマトが割れてしまう「裂果」に悩まれていませんか?今回は、トマト裂果の種類とその要因について説明します。トマトの裂果の種類トマトの裂果の種類は、以下のように区分されます。(1)放射状裂果果梗部(枝や茎と果実が接触している部分)から放射状に裂けるのが、放射状裂果です。果実が肥大したあと、へたが剥離し、その下の組織がコルク化する際に、コルク層から吸水されることが原因の一つです。(註:果実が緑熟期に近づいた時期に果実の発育に応じて果皮が伸びられないために小さな亀裂が生じたのちコルク化し、コルク点となる)(2)同心円状裂果果梗部を中心に同心円状に裂けるのが、同心円状裂果です。弱いコルク点では内部からの圧力が強まると、同心円状裂果が発生します。(3)側面裂果果実の側面が不規則に裂けるのが、側面裂果です。同心円状裂果と同様、弱いコルク点では内部からの圧力が強まると、側面裂果が発生します。トマトが裂果する要因トマトの裂果の直接的な原因は皮にひずみが発生することです。また、ひずみが起こる理由として、水分を吸収した細胞の膨張に大きく関わっていると言われています。つまり、果実の水分状況や急激な肥大が関係しています。さまざまな実験結果によると、裂果は主に早朝に起こると言われており、Ohta(1997)によると、4:00~10:00の間に約83%の割れが生じたと報告されています。これは、果実の直径が急激に増加することに関連します。(下図)果実の大きさは、3:00から6:00に増加し、その後一旦緩やかになりますが、8:00〜14:00に再び緩やかに増加、日没後にも急激に増加します。作物が急激に増加する時間帯のうち、特に日の出前または日の出直後の早朝の時間帯は、日光量が少なく根から吸水した水が葉から蒸散されず、果実へいってしまうため玉割れが起こってしまいます。図の説明「ミニトマトの果実裂果の日内変動。7月1日〜10日までの毎日、250個の完熟果実を用いて1時間間隔で調査した果実裂果の発生状況」(縦軸:「果実裂果の発生率」 横軸:「時間」)そのほか、トマトの裂果が起こる主な要素は以下の通りです。(1)かん水(2)被覆(3)摘芽(4)葉の量(5)果実の若老(6)肥料に関連する根群の発達の良し悪し(7)気温の変動裂果の対策にはかん水管理が大切ですが、ほかにもさまざまな要因がありますのでご留意ください。ヤシ殻培地を使ったかん水管理で裂果を防ぐ方法については以下をご覧ください。▼コラム「培地の特性を知ろう!かん水管理で裂果を減らす」https://cococara.jp/column/tomato_kansui主な参考文献二井内ら(1960)トマトの裂果に関する原因村瀬ら(1993)ミニトマト裂果現象の有限要素解析Ohta et al (1997) Relationships between Fruit Cracking and Changes of Fruit Diameter Associated with Solute Flow to Fruit in Cherry Tomatoes