ピートモスは、その優れた水分保持力と栄養素保持力から、世界中で長期に渡り利用されてきました。しかし、原料であるピート(泥炭)の採掘による大気中への二酸化炭素放出や、生物多様性の損失、洪水などの環境問題を引き起こすことが懸念されています。このため、ヨーロッパや北米では、ピートモスに代わる持続可能な基材の研究と開発が進められています。<目次>▲供給不安が課題となっているピートモスヨーロッパと北米で進むピートモス代替品の開発ヨーロッパでは、ピートを含まない代替品の開発が進み、ピートモスの使用割合も徐々に減少しています。では、どのような基材が代替品として開発されているのでしょうか。木質繊維木繊維や樹皮の基材は、重要な代替品だと考えられています。木質繊維には保水性が高いという特徴があります。また、林業の副産物や再利用ができるため環境への負荷も低減が期待されています。例えば、針葉樹で釘や締め金具と一緒に使用されるサザンイエローパインの木材チップを再利用して作られた代替品があります。鉱物由来の基材膨張粘土ペレット、パーライト、バーミキュライトなどの鉱物由来の基材は、他の基材と混合して使用されます。土壌中の空気量を増やし、物理性や排水性を改善できます。家庭廃棄物家庭や家庭の庭から出る廃棄物を利用する試みもありますが、安定的で均一な材料供給が課題となっています。イギリスでは、標準化された材料の処理や保管するための方法がないことも指摘されています。一方で、北米では有機再生紙から製造された家庭用のピートフリーの鉢植えミックスが既に販売されています。羊毛やアルパカの毛羊毛は、保水性が高く土壌の物理性を改善することが可能です。アルパカの毛は、疎水性があり湿気を弾き、排水性を向上させ、浸水を防ぐため注目されています。羊毛とアルパカの毛の混合によって、生産者の要件、時期、栽培設定に応じた特注品を作ることができる可能性があります。バイオ炭木材や農業残渣、その他の有機材料を熱分解のプロセスを通じて生成されるバイオ炭もピートの代替品として検討されています。多孔性で安定した形態で、土壌改良、pH 調整、微生物の活性化に適しています。▲代替基材のイメージピートモスの代替をめぐる課題これらの代替品の開発が進んでいますが、依然としてピートモスが人気の理由があります。それは、熟成したピートはもともと栄養素が少ないため、元肥や土壌改良材として最適であり、高い陽イオン交換容量(栄養素の保持/放出する能力)によって栄養素の効率的な供給が可能です。また、ピートを含まない代替品の中には、栄養素過多や、栄養素の閉じ込めにより追加肥料が必要となることから、追加コストと環境へのリスクが高まる可能性もあります。さらに、ピートが酸性であるのに対して、代替品はよりアルカリ性が高い傾向があります。栄養素の吸収はpHに依存するため、栽培上の施肥設計の調整も必要になり、栽培を難しくする要因となります。ココカラはココピートモス(CPM)を発売ピートモスの代替をめぐる挑戦は、ヨーロッパは北米で長年行われています。しかし日本ではまだあまり注目されておらず、製品の開発も進んでいません。しかし、ココカラでは、このような世界の情勢も鑑みて、2024年3月1日よりココピートを使ったピートモス代替の土壌改良材「ココピートモス(CPM)」を発売しました。▲ココカラ合同会社が開発したココピートモスCPMとはCPMは、ココピートを微生物や窒素成分と混ぜ込み、堆肥化させた製品です。排水性やCEC(陽イオン交換量)の向上を目的とした土壌改良材としてお使いいただけます。また、ピートモスの代替品として利用できます。CPMはピートモスの代替品として有望な理由CPMはピートモスと同様にC/N比が50:1であり、CECの向上、高い保水性、アルカリ性ではないなど、比較的ピートモスからの移行が容易な特徴を備えています。さらに、ゼオライトとの混合も可能です。CPMは環境に配慮しつつ優れた特性を持ちます。ピートモスの代替品として、これから先、重要な製品になると考えています。このように、ピートモス代替をめぐる課題が数多くある中、ココカラでは生産者の皆様にとって使いやすいピートモスの代替品として、CPMを開発いたしました。CPMについての詳細をご覧になりたい方はこちらよりお願いいたします。