<目次>育苗は、野菜や花などの種を播種し、発芽から本葉が展開するまでの苗を育てる重要な作業です。この期間は植物にとって最も繊細で重要な時期であり、作物に適した土、水分、温度、光などの環境条件を整えることが健康な苗を育てるために不可欠です。育苗に適した土の特徴や作物ごとの違い、育苗用培土と栽培用培土の違いについておさえておくことで、健康な苗を育て、栽培での収量と品質の向上につなげることができます。育苗に適した土の特徴一般的に育苗に適した土には、以下のような特徴があります。団粒構造を持つ育苗に適した土は、排水性、通気性、保水性のバランスが取れた「団粒構造」を持つことが重要です。団粒構造とは、土の粒子が集まってできた小さな塊のことで、粒子間に適度な隙間があり、水はけと通気性が良好な状態を指します。育苗用の土には、ピートモス、バーミキュライト、パーライト、ココピートなどの軽くて効果の高い原料が使われることが多くあります。これらの材料は、保水性、通気性、排水性に優れているため、団粒構造を持ち、種子の発芽と幼苗の成長を促進します。病原菌がない育苗の過程では、種子は病原菌に感染しやすく、幼苗は病気に弱いといった特徴があります。そのため、育苗用の培土は病原菌などがない土であることも重要です。作物ごとの育苗に適した土の違い育苗に適した土は、作物ごとにも違いがあります。トウモロコシ、マメ科トウモロコシやマメ科の種子は大きく、発芽に必要な養分を種子自体に蓄えているため、肥料分を含まない土が適しています。排水性が良く、軽い砂主体の土を使用することで、種子の発芽を促進し、根腐れを防ぐことができます。ウリ科、ナス科ウリ科やナス科、オクラなどの作物は、比較的大きな種子を持ち、発芽に時間がかかります。そのため、粘土分を多く含み、肥料と水分を保持できる重めの土が適しています。粘土分が多い土は、種子に適度な重みを与え、発芽を促進します。また、長い育苗期間中に必要な養分を供給することができます。レタスレタスの種子は小さく、発芽には光が必要です。そのため、軽くて光を通しやすい有機物主体の土が適しています。ピートモスやココピートなどの有機物は、保水性と通気性に優れており、種子の発芽を促進します。また、これらの材料は、光を透過しやすいため、種子が発芽しやすい環境を提供します。アブラナ科(ハクサイ、キャベツ、ブロッコリーなど)アブラナ科の作物は、種子が小さく、発芽に適度な水分と通気性が必要です。そのため、粘土、砂、有機物を等分に含んだ土が適しています。この組み合わせにより、保水性、排水性、通気性のバランスが取れた環境を提供することができます。また、アブラナ科の幼苗は肥料を好むため、適度な肥料分を含んだ土を使用することが重要です。イチゴイチゴは、通気性の良い無病地土が適しています。特に促成栽培の場合は、肥料分が少ない土が好ましいとされています。赤土や鹿沼土、ブラックピートなどに、ピートモスやココピートを混合した培養土を使用すると、物理性が向上し、苗の生育が促進されます。イチゴの育苗では、適度な排水性と保水性を維持することが重要であり、過湿を避ける必要があります。水稲水稲は、pHが5程度で、腐植を適度に含み、排水性と保水性に優れた床土が適しています。また、病原菌やカビ類に汚染されていないことも重要な条件です。水稲の育苗では、稚苗、中苗、成苗によって必要な床土の量や施肥量が異なります。市販の人工床土や人工成型培地を使用する場合は、原材料によって特性が異なるため、それぞれに適した育苗管理が求められます。また、播種時の潅水量や追肥の時期・量にも留意が必要です。育苗用培土と栽培用培土の違い育苗用の培土と栽培用の培土では、以下のような特徴の違いがあります。育苗用培土:細かい粒子で保水性と排水性のバランスが取れており、肥料控えめ育苗用の土は、種まきに適した細かい粒子で均一性が高いのが特徴です。これにより、種子が発芽しやすく、幼苗が成長しやすい環境を提供します。また、育苗用の土は、保水性と排水性のバランスが取れていることが重要です。また、育苗期には肥料が多すぎると幼苗が徒長したり、根を傷めたりする可能性があるため、肥料分は最小限に抑えられています。栽培用培土:やや粗めの粒子で肥料豊富一方、栽培用の土は、鉢上げ後の根の生長を促進するために、やや粗めの粒子を含んでいます。これにより、根が伸びやすく、植物が大きく成長できる環境を整えます。さらに、栽培用の土には植物の生育に必要な養分が豊富に含まれています。適した育苗用培土で健康な苗を育苗は、健康な苗を育てるために重要な作業であり、作物に適した土を選ぶことが大切です。育苗用の土は、栽培用の土とは異なる特性を持っており、排水性、通気性、保水性のバランスや肥料が控えめであることが求められます。作物ごとに適した土の種類が異なるため、それぞれの特性に合わせて土を選び使用することで、健康な苗を育て、栽培での収量と品質の向上につなげることができます。ココカラは育苗向け培土「ココカラ・プレタ」を発売ココカラは2024年5月、ブラックピートの供給不安が指定されていることを背景に、通常のココピートにバクテリアを独自配合して人工的に腐植を進めた「ココカラ・プレタ」を新発売いたしました。保肥力が高く、根がデリケートなイチゴの育苗やレタスの栽培に最適な製品です。人工製造のため、均一な品質で安定供給が可能です。また、サイズはLCBタイプ(55×50×30㎝、180L)で、サイズのカスタマイズやサンプル提供のご相談も承っております。製品の詳細はこちら(https://cococara.jp/news/info/CPP)。参考文献・サイトhttps://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozentype/hsehi_kizyun/pdf/aina3c.pdfhttps://www.ruralnet.or.jp/gn/201703/kant.htmhttps://nagata-soil.jp/pages/64/detail=1/bid=357/rid=20/