私たちの身近に生息するミミズ。畑や庭の土の中で見かけるこの生き物は、古くから土壌との関係性が知られています。19世紀には既にチャールズ・ダーウィンが土壌改善効果に注目し、詳細な研究を行っていました。土を耕し、栄養分を循環させ、さらには土壌の性質そのものを改善するミミズの力は、現代では生ごみ処理にも応用されるようになっています。そこで、古くから知られているミミズの生態と土壌改良効果、現代的な活用法であるミミズコンポストまで、ミミズの機能について説明します。ミミズとはミミズは環形動物門貧毛綱に属する動物です。「目みえず」が転じて「ミミズ」となったという説があるように、目を持たない生き物です。世界では約1,800種が確認されており、日本においては200~300種とされていましたが、最近、同じ種なのに異なる名前がついていたものが整理されたため、この数を下回ります。また、日本に生息するミミズのうち95%以上をフトミミズ科が占めています。体は円筒状で細長く、前方に口、後方に肛門を持ち、多数の環節に分かれています。一般的なミミズは体長10cm程度、環節数は100~200程度ですが、種によって大きさは異なります。日本最大のシーボルトミミズは体長45cm、太さ1.5cmにもなります。また、世界最大のミミズは南アフリカに生息し、体長7.8メートル、重さ30キログラムにも達します。ミミズは生活場所によって3つのタイプに分類されます。(1)落葉層で生活し、落ち葉や堆肥を食べる「表層性種」、(2)地中に生息しながら表層の有機物を食べる「表層採食地中性種」、そして完全に地中で生活する「地中性種」です。ミミズと土壌の関係性ミミズと土壌の関係性については、19世紀にチャールズ・ダーウィンが詳細な研究を行い、ミミズによる物理的、化学的土壌改良の役割を指摘しています。物理的な効果としては、土壌構造の改善です。ミミズが地中に縦横の穴を掘ることで土壌の通気性と排水性を向上させ、土壌の団粒構造を作ります。また、深い層の土を地表に運び上げることで、土壌の「耕耘」も行っています。化学的な効果としては、ミミズのフンが重要です。ミミズのフンには植物の成長に必要な栄養素が多く含まれており、特にカルシウムが豊富に含まれています。また、弱アルカリ性であるため、酸性土壌の改善効果も持っています。さらに、ミミズは落葉などの有機物を細かく砕いて分解を促進し、土壌中の微生物活性を高める働きもあります。ミミズコンポスト最近では、ミミズの有機物分解能力を活用した「ミミズコンポスト」が注目を集めています。これは、ミミズと微生物の力を借りて生ごみや残渣を堆肥化する方法です。特に、シマミミズやアンドレツリミミズといった表層性種が適していることが分かっています。ミミズコンポストのメリットは、ミミズのフンに含まれる微生物が臭気成分を分解することと、多孔質なフンが臭気を吸着する性質を持つことにより悪臭が少ないことです。また、できあがる堆肥の質も高く、植物が吸収しやすい形態の栄養分を含み、土壌の物理性改善効果も高いという特徴があります。しかし、課題もあります。ミミズは35度以上の高温に弱いため、夏場は特に温度管理に注意が必要です。また、処理能力には限界があり、大量の処理には不向きという特徴があります。さらに、高温処理を行わないため、病原菌や雑草の種子が残存する可能性があることにも注意が必要です。ミミズのこれからこのように、ミミズと土壌の関係は古くから認識されており、切っても切れない縁でつながっています。最近では、残さの処理を考える上で、ミミズの力を借りて、活用していくことが注目され、その力に期待されています。参考ミミコンのススメ石塚小太郎|ミミズ図鑑(農文教)関連記事【お知らせ】 自治体様のコンポスト資材にココカラピートを採用いただきました ココカラ合同会社のココピートはコンポストにもご利用いただいております。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。