堆肥化は、有機物を微生物の働きによって分解し、安定した物質へと変換する過程です。この過程は、有機物の堆積や自然な腐熟とは異なり、計画的な管理のもとで進められます。堆肥の概要とそのプロセスについて説明します。堆肥とは堆肥は、目に見えない細菌、放線菌、糸状菌や小動物などの微小な生物の活発な活動によってつくられます。原料となる有機物は、植物性と動物性の2つに大きく分類され、植物性の原料としては稲わら、もみがら、落ち葉、野菜くずなど、動物性の原料としては家畜ふん尿、魚粉、骨粉などがあります。堆肥化のプロセス堆肥化のプロセスには微生物が重要です。微生物は、大部分が好気性の微生物で、種類の異なる数多くの微生物が現れては消えていきます。これらの微生物は、原料となる有機物の性質によって分解過程が異なります。例えば、分解が容易な有機物(生の野菜くずなど)は速やかに分解されますが、難分解性の有機物(稲わらなど)はより時間をかけて徐々に分解されていきます。堆肥化のプロセスは、国や地域によって分類が異なります。欧米では主に4段階(中温期、好熱相、冷却段階、熟成段階)で説明されることが多く、日本では主に3段階(糖分解期、セルロース分解期、リグニン分解期)で説明されます。海外における堆肥化の段階1. 中温期最初の中温期では、混ぜ合わせた材料は常温の状態から始まります。通常の微生物が有機物を分解し始め、その活動によって約1週間かけて温度が40度程度まで徐々に上昇します。この時期は分解の初期段階で、混ざった材料は酸性に傾いていきます。2. 高温期高温段階では、温度が45度を超えて上昇し、高温でも活動できる特殊な微生物が主役となります。これらの微生物は木材などの分解が難しい物質も処理できるため、堆肥化が本格的に進みます。この段階では有害な細菌を死滅させるため、60度前後の高温を維持することが重要です。微生物が活発に活動できるよう、定期的に空気を送り込む必要があります。3. 冷却段階材料の分解が進むと温度は40度程度まで下がり、冷却段階に入ります。この時期には再び通常の微生物が戻ってきて、まだ残っている物質の分解を続けます。4. 熟成段階熟成段階では、温度が徐々に常温に戻り、様々な種類の微生物が活動を始めます。特に糸状菌が、それまで分解されずに残った物質を処理していきます。この過程で堆肥は次第に安定し、植物が吸収しやすい栄養分へと変化していきます。この段階を経て、ようやく良質な堆肥として使用できる状態となるのです。日本における堆肥化の段階1. 糖分解期(初期段階)堆肥原材料中のタンパク質、アミノ酸、糖質などが分解される時期です。好気的な分解であり、発育の速い糸状菌や細菌が主となって活動します。この過程で微生物の盛んな呼吸による熱が発生し、堆積物の温度は上昇します。2. セルロース分解期(発熱期)堆肥化の主要な過程であるセルロースの分解が行われます。この時期の温度は60~80℃に達し、高温性好気性の放線菌(テルモアクチノミセスなど)がヘミセルロースを分解し、続いて嫌気性のセルロース分解菌(クロストリジウム)が働きます。この段階でセルロースとヘミセルロースが効率的に分解されていきます。3. リグニン分解期(後期段階)堆肥の骨格が分解する時期であり、堆肥は黒褐色の壊れやすい性状となります。温度が低下し、多様な微生物が現れては消えていく中で、特に糸状菌による分解が進みます。この時期には微生物の遺体が蓄積され、これが堆肥の窒素成分の大部分を占めるようになります。堆肥化における熟成段階堆肥化の最終段階である熟成段階(後期段階)では、温度が徐々に低下し、より多様な微生物群が活動を始めます。特に糸状菌による難分解性物質の分解が進み、微生物の蓄積と腐植物質の形成が活発に行われる状態です。有機物の堆積や自然な腐熟とは異なり、堆肥化における最終段階である熟成段階(後期段階)は管理の上熟成させ、完成した状態であると言えます。用途に合わせて独自に堆肥化、ココカラ製品の紹介ココカラでは、ココピートに独自にバクテリアなどを配合することで堆肥化を進めた製品を発売しております。ーココピートモスピートモスの代替として開発したココピートモスは、海外における堆肥化の最終段階「熟成段階」まで到達させた製品です。ピートモスの代替として、また堆肥としてご使用いただけます。堆肥化しているため、多量のココピートモスを混ぜていただく必要はありません。ーココカラ・プレタココカラ・プレタは、海外における堆肥化の3段階目「冷却段階」まで熟成を進めた製品です。完全に堆肥化していないため、ココピートの良さを併せ持っており、本製品単体で育苗などにご使用いただけます。製品に関するご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。参考Phases of composting堆肥とはIV 堆肥化における微生物の役割|家畜改良センター(pdf)