ココピートは、植物育成に適した培地ですが、アミノ酸を含むバイオスティミュラントなどの資材を使用すると、pHが低下する可能性があります。本記事では、アミノ酸がココピートのpHに影響を与えるメカニズムと、pHが低下した時の対処法について説明します。アミノ酸がココピートのpHを下げる可能性ココピートは、保水性や通気性に優れ、pH(水素イオン指数)も5.5~6で安定しているため、水のpHに多少影響は受けるものの、植物の生育に適しています。しかし、植物の生長を促進する効果があるアミノ酸を含むバイオスティミュラントを使用した場合、このpHが低下する可能性があります。図:バイオスティミュラントのイメージアミノ酸がココピートのpHに影響を与えるメカニズムアミノ酸は、分子内にカルボキシル基(-COOH)と塩基性基であるアミノ基(-NH₂)を持つ有機化合物で、タンパク質の構成要素です。カルボキシル基は、プロトン(H⁺)を放出することで負(マイナス)の電荷を帯びた-COO⁻になります。一方、アミノ基は、プロトンを受け取って正(プラス)の電荷を帯びた-NH₃⁺になります。図:アミノ酸の構造式ココピートは、リグニンやセルロースなどの有機物から構成されており、表面にはプラスとマイナスの電荷が交互に並んでいます。通常、これらの電荷は均衡を保っているため、プラス電荷を取り込んだら、マイナス電荷も取り込むといった「バッファー」が機能します。そのため、ココピートのpHは中性付近に安定的に保たれています。しかし、アミノ酸を含む資材を使用すると、アミノ酸のカルボキシル基(-COO⁻)がココピートの表面にある正の電荷と結合し、電荷のバランスが崩れる可能性があります。その結果、ココピート中のH⁺の濃度が上昇し、pHが低下する可能性があります。図:通常、ココピートは中性付近で安定するが、アミノ酸のカルボキシル基とココピート表面のプラスの電荷が結合すると、ココピートはマイナスの電荷を取り込めなくなり、H+濃度が上昇、結果pHも下がる。pHが低下したときの対処法培地内にアミノ酸が含まれているかを検査するのは困難です。そこで、アミノ酸を含む資材の使用によりココピートの pH が低下した場合、以下のような対処法が有効と考えられます。十分な量の水で洗い流す植え替えのタイミングで十分な量の水(H2O)を与え、アミノ酸や肥料分を洗い流すことで、ココピートのpHを元に戻すことができます。アンモニア水溶液の使用アンモニア水溶液(弱アルカリ性)を希釈して与えることで、ココピートの pH を中性に近づけることができます。ただし、アンモニアは植物に対して害を及ぼす可能性があるため、濃度に注意が必要です。必ず問題ないかを確認してから使用しましょう。定期的なpHチェックの重要性ココピートは、植物の生育に適していますが、アミノ酸との相性には注意が必要です。アミノ酸を含むバイオスティミュラントを使用する場合は、定期的にココピートの pH を確認し、変化に応じて適切な対処を行うことが重要です。適切な管理を行うことで、アミノ酸のメリットを活かしつつ、ココピートのpHを適切な範囲に維持しましょう。参考文献・サイトhttps://byjus.com/chemistry/amino-acid-structure/https://m-hub.jp/biology/44/relationship-between-ph-and-pkahttps://www.masterorganicchemistry.com/2023/02/09/isoelectric-point-calculation/https://www.zennoh.or.jp/operation/hiryou/pdf/qa_dojo.pdf