2023年7月1日にオープニングセレモニーをむかえたセーラム新規工場。一貫生産を可能にしたココカラ・エンジニアたちの知識と技術が集結した最新設備と、より安定した生産を可能にした貯蔵スペースの確保についてご紹介します。原料から製品までの一貫生産で生産効率アップ今回、新規始動したセーラム工場の特筆すべき点は、ココカラのココカラピートを原料から製品まで一貫生産ができることです。これまでの簡易設備では、ココナッツを粉砕してココピート粒を作る工程までで、その原料を別の製品加工工場まで運んでいました。<ココナッツチップ製造機>今回新たに導入した機械では、5キロブロックとLCBの最終パッキング作業まで一貫した作業が可能となり、また1cm、5mmなど様々なサイズのチップも自社工場で製造可能になりました。これまでは、一方向から1回の圧縮をするもので、LCBのサイズも60×45×30cmと固定されていましたが、新機種では二方向からの2回圧縮により、サイズと厚さをカスタマイズすることが可能となりました。圧縮回数は、例えば原料180リットルであれば3回、300リットルであれば4回など、原料やその量によって1〜4回と変更可能で、全日稼働で6000キロ、製品にして50~300リットルのLCB生産が可能となります。これによって、ホームセンターなどで販売している30リットルや50リットルサイズの完成製品をインド国内で製造できるようになります。これまでの通常サイズは560袋/40HCコンテナでしたが、圧縮率を高めることによって、800袋/40HCコンテナが搭載可能となり、日本における販売価格を下げることができます。<品質と容量を保ちつつ水分率をコントロールできるシステムを導入>また、今回最大の投資でもあり、画期的に作業効率を上げてくれたのが、日本から取り寄せた川崎ポンプの「Axial piston pump」でした。<川崎ポンプ「Axial piston pump」>このポンプでオイルの量を調整することにより、生産キャパシティをコントロールでき、最大量の180リットル/分で稼働すれば、1時間あたり約30個の生産が可能となります。また、ERコントローラーによって節電率が50%に抑えられ、電力事情が課題となるインドにおいては、とても重要な機能となっています。<LCB製造機などを製造したココカラのエンジニアチーム(HVKと共同開発)。HVKは日本の東京計器の南インドの総代理店>ココピート保管エリアも拡大し、細やかなロット管理が可能に全体の敷地面積をこれまでの3エーカーから10エーカーに拡大し、ココピートを洗浄して乾燥させるベッドエリアもこれまでの3倍に増えました。ココピートの品質は、ココナッツの生産地や種類だけではなく、収穫される季節によっても変わってきます。これまでは、ココナッツの産地と種類によるロット管理を行なっていましたが、保管エリアを拡大したことで、収穫の季節による分類も可能となり、これまで以上に細やかなロット管理ができるようになります。<ココナッツファイバーを敷き詰めたココピート保管エリア>また、雨水が地下に流れ込むのを防ぐために、これまでココピートのベッドの下に敷いていたビニールシートを、現在はココピート製造の過程で出るココナッツのファイバーで代用するという試みをおこなっています。ビニールシートは、雨水の流水は止められますが、下のほうに堆積されたココピートの生物分解が進んでEC値が高くなってしまうという課題がありました。リグニンを多く含有するココナッツは微生物分解の進行が遅くなるため、下部のEC値の上昇速度を抑えるという効果が期待できます。多くの使い道があるココナッツのファイバーは、一般的には販売されています。しかし、環境への配慮を重視するココカラでは、このようなファイバーの使い方を積極的に導入しています。ココカラでは、これまでの提携工場との連携も継続しつつ、新規セーラム工場での一貫生産によって、これまで以上に安定した製品供給を実現します。また現在、持続可能な農業に貢献する新たな研究開発も進んでいます。ココカラは、これからも「地球にやさしく、生産者にもやさしい農業」を目指していきます。