ヤシ殻培地のかん水・排水管理は?|ココピートの含水率やEC管理との関係性

ヤシ殻培地のかん水・排水管理は?|ココピートの含水率やEC管理との関係性

光合成には、光、二酸化炭素、水が必要です。施設内で栽培するときには、ハウス内の温度、湿度、二酸化炭素濃度、採光などについては環境制御システムなどで管理をします。さらには、植物の根環境に関しては、かん水管理が重要です。

今回は、固形培地による養液栽培、特にココピート培地を使用した場合の最適なかん水管理、排水管理、EC管理の基礎を解説します。

かん水とは?かん水のタイプと方法・タイミング

かん水をする目的は、「植物の生長のため」、「植物を冷やすために行う蒸散のため」、「不要な塩分を根元から排出するため」です。まずは、かん水に関する基本情報をまとめます。

かん水のタイプ

栽培方法によって、使用されるかん水装置は異なる場合があります。よく栽培タイプごとに、選択されることが多いかん水方法を紹介します。

栽培ベンチにグローバッグを設置する場合

固形培地での栽培では、グローバッグ培地を栽培ベンチの上に配置し、植物の苗が入ったスラブ(ポット)を置き定植をします。その定植苗に、点滴かん水用のノズルをポットに挿してかん水をすることが多いです。

ベンチに固形培地を入れる場合

ベンチの中に固形培地を入れて栽培する場合には、ドリッパーや点滴チューブが使われます。

培地中の含水率の計測方法

かん水をすると、培地内に水分が含まれます。その培地内の含水率を知ることは、かん水の開始と停止のタイミングを知る上で重要です。

含水率の計測には、培地の水の変化の重さを測るスケールはかりや、水分量を直接測定する電子メーターなどを使用します。

収量を上げるためのかん水方法

かん水管理は、収量とも大きく関連づいています。収量を上げるためには、茎葉や根の生長を促す栄養成長ではなく、花芽を形成して開花・結実させる生殖成長に傾ける必要があります。

品目・品種や栽培条件などによっても異なりますが、生殖成長に傾けるためには、目安として夜間の培地内の含水率が8〜10%が望ましいとされています。6%程度の場合は栄養成長に傾くといわれています。これは、培地内の水分量が少ないと、EC値が高くなるため、夜間の培地内の含水率を調整しながら、かん水管理をすることは有益です。

かん水の開始時間と終了時間

夜間に培地内の含水率を適正にするためには、かん水のタイミングを図ることが重要です。

朝一でかん水を開始するタイミングは?

かん水を開始する時間は、日の出から約1、2時間後を目安にします。含水率を測定し、作物が活動的になってきたことを確認してから、最初のかん水を行います。あまり早い時間にかん水を開始すると、果実に水分が行き渡り、裂果の原因になりうるからです。

最後のかん水のタイミングは?

その日の最後のかん水は、一晩中ココピートが乾燥するようなタイミングで行ってください。日没の2、3時間程度前に最後のかん水を行うとよいでしょう。

夏場は夜間かん水も

夜間の気温が25℃を下回らない夏の暑い時期には、培地が乾燥し過ぎてEC値が上昇してしまうのを防ぐために、夜間にかん水を行うこともあります。

ココピート培地でかん水をするときの注意点

出典:Greenhouse Crop Production in Cocopeatをもとに作図

ココピート培地は、その培地が保持できる水分量以上を入れても、培地内を通過せず、グローバッグなどの側面を移動し、流れ出てしまいます。そうなると、培地内のEC値を調整することができないため、植物が高活性になり、作物の収量も減少する可能性があります。

一度に多量のかん水をせず、目安として、1回のかん水で1㎡あたり450ml程度を短時間で頻繁にかん水する「少量多かん水」が望ましいです。かん水量は1日を通して一定にし、タイミングは光量に合わせて変更していきます。

ココピート培地のEC管理方法は排水管理で

養液栽培では、排液の管理とECの管理も不可欠です。ココピート培地を使用する場合の排液の目安を説明します。

養液栽培では、培地内のEC値を調整するために排水をさせることが必要です。培地内のEC値が高い場合は、作物が水を吸収する量が減少します。反対に、培地内のEC値が低い場合は、作物が水を吸収する量が増加し、栄養成長に傾きます。

排水量の目安は?

出典:Greenhouse Crop Production in Cocopeatをもとに作図

ココピート培地の場合は、一般的に1日に約30〜40%の排水が必要です。ただし、この値は1日の平均値で、根域を一定の含水率を保持するためには、時間帯によって変化させる必要があります。つまり、光量が一番多い時間帯に、一番排水量を多くするよう調整します。また、夜間には培地が乾燥するため、その日の最初の1、2回目のかん水では、排水はほとんど発生しません。

排液中のEC値を観測し、かん水を調整

根圏を理想的なEC値に保つためには、EC値を定期的に観測しましょう。排液中のEC値が高い場合は、ゆっくりと範囲内に戻すために、より頻回でのかん水が必要です。排液中のEC値が低い場合には、範囲内におさまるようにかん水の回数を減らします。

EC値を下げるために、低EC値の養液や水だけでかん水することは絶対に避けてください。排液中のEC値を0.5dS/m以上変化させたい場合は、急激に対処すると根域の変化によって植物がショックを受け、収量や品質の低下をまねいてしまう可能性があるので、1~2日かけて徐々に行ってください。

環境制御システムを活用し、光量に応じてかん水のEC値を自動調整することもできます。ただし、強い光量と弱い光量の場合のEC設定値の差は0.5dS/mを超えてはいけません。

培地の「保水性と排水性が高い」の正しい理解とは

効果的な栽培を行うためには、かん水管理と排液管理、EC管理が重要です。これらの管理に影響を与える培地の保水性と排水性について説明します。

ココカラのココピートは、保水性も排水性が高いことが特徴です。では、保水性とは何でしょうか。また、保水性と排水性との関係性はどのようなものでしょうか。両方が高いということは理論上あり得るのでしょうか。

保水性と排水性とは

「排水性がいい」というのは、単にかん水した瞬間に水が抜けることではありません。まずは、保水性と排水性の関係について解説します。

培地の保水性とは、「培地が水を保つ力」すなわち、どの程度の水分を培地がつかまえておくことができるかというものです。たとえば、24Lの水をつかまえておくことができる培地の場合は、かん水で入れた24Lの水は、時間の経過とともに、少しずつ排水されます。24Lの水が培地にパンパンに含まれている状態で、最後のかん水を終えると、少しずつ排水していきます。トマト栽培においては、夜間に水分量を低く保つことがメリットとなるので、培地の排水性が高いながらも、少しずつ排水されていくことは大きなメリットになります。

24L保水ができる培地に30Lの水を入れると、かん水後すぐに6Lが排出されてしまいます。つまり保水性によって、培地が維持できる量しか保水せず、不要な水はすぐに排水されます。

チップと保水性の関係

かん水してすぐに水が抜けることを「排水性が高い」と考えられがちですが、必ずしもそうとは言えません。排水性を高めるためにチップを入れる場合がありますが、チップは保水ができません。たとえば、24Lの水をつかまえておくことができる培地のうち50%をチップで構成した場合は、保水性も半分の12Lとなります。そのため、24Lをかん水すると、半分の12Lがすぐに排水され、残りの12Lが培地中に残り、そのあと少しずつ排水されていきます。

ダストと排水性の関係

ココピートのダストは、水を含みやすいので、保水性は上がりますが、培地の下部に溜まるため、排水性を阻害する可能性があります。

排水性も保水性も高いココカラのココピート

ココカラのココピートが保水性も排水性の高さを実現しているのは、1mm以下のダスト(粉)を取り除いており、水がたくさん入って保水性が高くても、時間の経過とともにきちんと排水されるよう製品開発をしているためです。

参考:Greenhouse Crop Production in Cocopeat


 

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