トマトの収量を上げるための灌水と施肥

トマトの収量を上げるための灌水と施肥

 

ココピート培地は、主に施設園芸で使用されています。国内の施設栽培面積のうち、トマト栽培が78%を占めており(施設園芸をめぐる情勢/農林水産省)10aあたりのトマトの収量は、施設園芸先進国オランダが50トンと増加を続ける中で、日本では10トンと一定の収量水準で推移しています。ここでは、培地を使った養液栽培でトマトの収量を上げるポイントと、灌水と施肥から考える収量の確保について解説します。

トマトの収量はどのように決まる?

 

トマトの収量向上を目指すために、まずはトマトの収量を上げる要因を説明します。トマトの収量は、「総乾物生産」「乾物の分配(果実の乾物含量)」によって決まります。

 

総乾物生産は受光量に影響

総乾物生産の要因は、主に受光量(植物の葉が受ける光の量)によって決まります。そのため、葉面積や群落構造(茎葉の垂直分布は固有の構造)によって受光量が異なります。また、受光量は温度や湿度など栽培する環境にも影響を受けます。

 

  • 温度
    葉の展開は温度に影響を受けるため、受光量が変動します。
  • 湿度
    湿度は葉の大きさに影響を与える可能性がありますが、まだはっきりとわかっていません。ただし、湿度は水と無機栄養分の吸収に影響し生長に影響を与えます。
  • 二酸化炭素
    二酸化炭素の増加は、乾物生産にとって重要です。二酸化炭素濃度が大気中の2倍になると、果菜類の生産量は11〜32%増加します。ただし、二酸化炭素濃度が高い場合には、葉内のデンプン濃度や乾物含量を増加させるため、バランスを考えましょう。

  • 水に含まれる塩類と無機養分の関係はとても複雑です。高い塩分濃度によって栄養バランスが崩れ、栄養障害が生じます。また、水の吸収が減少してしまうので、根から吸収したわずかな水が地上部へと十分に行き渡りません。例えば、ECが6dS/m以上の場合、1dS/m高くなるごとに、個葉面積は8%小さくなると言われています。

 

乾物生産と分配

トマトの場合は、「総乾物生産」と、「乾物分配」が異なります。トマトの収量に関わるのは、果実に分配された乾物だけだと言われています。つまり、乾物分配が直接収量に影響をもたらします。
収量を上げるためには、受光と乾物生産を確保することが必要で、そのためには十分かつ多すぎない程度の葉を育てることが大切です。

 

トマトの収量減少を引き起こす灌水と施肥に関連する生理障害と対策

 

収量の確保のためには、総収量の減少を引き起こす原因の対策も必要です。灌水や施肥が原因で以下の生理障害が起こります。下記に主な生理障害と対策についてご紹介します。

 

尻腐れ果

カルシウムが果実の先端部で不足する時に、尻腐れ果が現れます。これは、培養液中の高塩類濃度や水ストレスによって起こります。一方で、高塩類濃度や水ストレスは果実の乾物含量や糖濃度などの果実の品質向上には貢献するため、栽培目的にあった施肥を心がけてください。また、根域へのカルシウムの施用も効果的です。

 

ゴールドスペック(銀粉果)

果実内のカルシウム過剰により、果実に白い斑点が現れる生理障害をゴールドスペックと言います。培養液中のカルシウム濃度を下げ、果実温度を下げたり、NPKの調整をしたりすることで、ゴールドスペックを抑えることができます。

 

裂果とつやなし果

裂果とつやなし果の双方に共通して言える症状としては、果皮が粗くなることが挙げられます。裂果の場合は、土壌含水率を比較的低く維持し、果実を均一にゆっくり生育させることが予防になります。また、養液栽培でつやなし果を解消するためには、品種の選定や不定期な大量灌水を避け、昼夜温較差や湿度の変化を小さくすることが効果的です。

 

イディーマ(水腫)

細菌や真菌ではなく、葉の膨れが起こった場合は灌水量を減らし、換気、温度、光量を高めて蒸散を促進させて防ぎましょう。

 

トマトの発育ステージ別、灌水と施肥のバランス

 

上記のような生理障害を防ぐためには、肥料中のイオンバランスを保つことが大切だとされています。また、果実の品質向上のためにはイオンバランスやECの役割が理解されてきています。
養液栽培において、主に定期的に一定の肥料を供給する点滴灌水法が用いられます。
発育ステージごとに、養水分の要求量や養分要素間の相互作用などを説明します。

 

水質

水質に影響を与えるのは、pHと塩類濃度です。根域のpHは養分の可給度に影響を与えます。多くの作物ではpH6.0程度が適していると言われていますが、養液栽培のトマトの場合は低いpHにも耐性がります。
また、土壌中の塩類濃度はECによって測定されます。塩類濃度が高いと、植物の養水分吸収が減少するため、塩類を含んだ水の場合、蓄積を防ぐために頻繁に灌水することが必要です。トマトの場合は、塩素濃度が100ppm以下の培養液では過剰障害は起こりませんが、ナトリウムは50ppm以下、塩素は70ppm以下が良いとされています。

 

給液の目安

給液は、天候など栽培環境により異なりますが、ここでは一つの基準として給液の目安を紹介します。

 

  • 播種時
    播種時は、水もしくは低濃度の液肥(EC1.0〜1.4dS/m)に浸漬した培地に播種します。播種後はバーミキュライトで覆土し、給液します。ビニールシートを覆い、25℃を維持します。60〜75%発芽したら、ビニールを外します。
    本葉が出たら、給液をECを2.0dS/mから開始し、3.0dS/mへと濃度を上げていきます。この際、水の過剰供給にならないよう気をつけてください。
  • 定植後
    通常、トマトは1個体あたり晴天時は2〜3L/日の水を要します。使用した水のほとんどが蒸散され、わずか10%のみが生長に使われます。ただし日射、気温、生育ステージ、植栽密度や培地条件によって灌水量は異なるため、注意が必要です。
    目安として、定植時の給液ECは0.8〜1.0で、一株あたり40〜50ccを10回程度灌水してください。活着後は、ECを上げ灌水量を増やしていきます。
    樹勢にもよりますが、3段開花までは給液が排水より多くなり、給液と排水の差が0.2〜0.5を目安に管理してください。0.5以上の差がある場合は、0.2程度給液を上げてください。3段開花以上になったら、給液が排水より少なくなるように管理し、培地内のECが2.0〜3.0で安定するように給液ECを調整してください。

 

給液時の留意点

曇雨天が数日続く場合に、培地内の水分率が下がり過ぎてしまわないように、1日以上の灌水の休止を行わないよう気をつけてください。また、灌水を休止した場合、翌日は培地内の水分率の低下や樹勢の低下により枯れが出やすくなります。急激な晴天時には遮光カーテンを利用が望ましいとされています。
頻繁な灌水により水分状態は安定します。しかし、圧力補正されていない状態で頻繁に灌水すると、吐出量の誤差が蓄積され、ECが上昇しやすいことがありますので気をつけてください。

 

液肥の濃度

気温の上昇に伴い、水の吸収速度は養分の吸収速度より大きくなります。根域に残っている液肥の濃度が上昇し、塩類濃度も上昇します。この影響を制御することで、萎えや生育速度の低下を防ぎます。

 

最後に

 

トマトの養液栽培で収量や、作物の品質を向上させるためには収量が上がる仕組みを理解して、栽培環境に合わせて適切な灌水や施肥を心がけることが大切です。

 

また、トマトの収量は培地の選択によって大きく改善される場合があります。詳しくは「ココピート培地でトマトの収量を上げる(次回掲載予定)」を御覧ください。

 
 


 
 
 

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