ココピートで環境に配慮した 『ゼロエミッション』を実現する方法は?

ココピートで環境に配慮した『ゼロエミッション』を実現する方法は?

 

オランダ温室園芸部門は、2027年に実質的に『ゼロエミッション』を達成することを約束しました。現在はこれを目標にさまざまな研究が行われています。その中には、ココピートやロックウールなど養液栽培の培地と、すでに導入されている排液処理技術などを組み合わせて、ゼロエミッションを達成するための戦略も含まれています。

ココピートとロックウールでゼロエミッション栽培比較

 

2016年には、ゼロエミッションを目的にロックウールとココピート培地を用いたパプリカ栽培の実験が行われました。今回はその『Vergelikking tussen emissieloze teelt op steenwol en kokos(ロックウールとココピートのゼロエミッション栽培の比較)』という研究レポートより、生産量と品質を損なうことなく、ゼロエミッション栽培を達成するポイントを紹介します。

 

ゼロエミッションとは?

最初に、この栽培実験で目的とした『ゼロエミッション』とは何でしょうか。それは、栽培収量後の残水量、窒素、リン酸濃度を大幅に低減することです。

 

目標を実現するための戦略は?

この実現ために、実験ではpHを下げ、灌水量を減らしました。灌水量を減らすために16mmのチューブを用い、日ごとに灌水量を大きく変化させました。さらに、低圧で調整し、養液が安定しECとpHが目的の値に達したら、圧力を上げ(1.8bar)ドリッパーを開いて灌水します。
 
ココピート培地を使った温室では、フラットベッドフィルター35μmを使用し、下図(ココピート培地の水の循環と技術の概要)のような技術を用いて水を循環させました。

 

ココピート培地の水の循環と技術の概要

<出典>

  • Vergelikking tussen emissieloze teelt op steenwol en kokos

 

<用語>

  • Regen water reservoir=雨水貯水池
  • Schoon drainwater=処理済み排水
  • Substraat unit/mengbak=培地ユニット/混合
  • Nutr=肥料
  • Kas kokos=ココピート培地のハウス
  • Rondpompen=ポンプ
  • Water meter=水道メーター
  • Pomp=ポンプ
  • Filter=フィルター
  • Vlakbed filter=フラットベッドフィルター
  • Vull drain tank=排液タンク
  • Ozon=オゾン処理

 

ゼロエミッションと良好な栽培は両立できる?

 

しかしいくら環境に良くても、栽培に影響があっては採用できません。ゼロエミッションと高収量、高品質は両立できるのでしょうか。

 

ココピート培地では10aあたり26.5トン、品質も良好

実験結果は、下表(培地ごとの生産結果の概要)をご覧ください。収量はココピートで26.5kg/m²(26.5トン/10a)、ロックウールで28.1kg/m²(28.0トン/10a)と良好でした。ココピートは、水の消費量が多い期間に、わずかに生産量がロックウールを下回りました。これはココピートは、栄養成長がロックウール区より早く、より結実数が少なかったためです。しかし、DIF(昼夜温度差処理)により、ココピート培地の特性を活かし、収量をもう少し上げられるため、培地における収量の差はないと報告されています。また平均重量はどちらも同じで、品質に関してもどちらも良好でした。

 

培地 果実数(1m²あたり) 収量(kg/m²) 平均果実重量(g)
ロックウール 142.0 28.1 203
ココピート 134.2 26.5 202

<出典>

  • Vergelikking tussen emissieloze teelt op steenwol en kokos

 

窒素排出量が大きく減少

ゼロエミッションの観点からも、硝酸塩濃度もリン酸塩濃度も大幅に減少し、良好な結果が得られました。両培地を比較すると、培地温も培地中のECとpHもほぼ同等でした。しかし、排液中のナトリウム濃度は、ロックウールでは栽培期間中に、合計33L/m²であったのに対して、ココピートでは6L/m²とかなり少ない結果が出ました。しかしいずれも、環境規制にも栽培に影響がない程度です。
 
さらにこの戦略においては、栽培終了時点で、培地中の水分量が減少することが分かりました。そうなると、作物が排出する水の量が大幅に減るため、窒素の排出量も減少します。この戦略を用いると、年間の窒素排出量は、わずか11.6kg/haに抑えられます。ちなみにオランダにおけるパプリカの窒素排出基準は133kg/haですので、大幅に減少できることが分かります。

 

最後に

 

環境に配慮した栽培方法は、今後ますます必要になります。しかし、収量や収穫物の品質が落ちてしまっては本末転倒です。今後は、栽培とゼロエミッションなどの環境への配慮が両立できる園芸をcococaRaと一緒に目指していきましょう。

 

<参考文献>

  • Vergelijking tussen emissieloze teelt op steenwol en kokos/Wageningen University and research

 

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