化石燃料ゼロ! 省エネでサステナブルな施設園芸を目指すためには

化石燃料ゼロ!
省エネでサステナブルな施設園芸を目指すためには

 

2018年にオランダでは、『2040年までに、施設園芸分野で化石燃料の使用をゼロにする』という目標が設定されました。化石燃料のないサステナブルな施設園芸に切り替えるためには、栽培に必要な熱、電気などのエネルギー、またCO2源を見つけ、実用化することが急務です。

化石燃料脱却のためには

 

オランダでは、施設園芸で消費するエネルギー量が、10年前の1m²あたり35〜40m²/年から25〜30m²/年へと省エネを実現し、大きな成果を上げています。しかし、まだほとんどの生産者が、ガスや石炭などの化石燃料をエネルギー源としています。では化石燃料ゼロでサステナブルな施設園芸を目指すためには、どのような点を議論していく必要があるのでしょうか。ここでは5つのポイントを紹介します。

 

1. ヒートポンプで省力化

10年前の時点で、化石燃料を使用しない『オール電化の温室栽培』が、技術的には可能であることが証明されていますが、現在ではさらに省エネ技術は進歩しています。ガラス温室の場合は、化石燃料ゼロを実現するためにヒートポンプを用いて、施設内の冷却、加熱、除湿をします。そうすることで、当時のエネルギー消費量の半減を目指し、省エネ化が図れます。また、夏季に太陽エネルギーを換気せずヒートポンプで収集し、蓄熱したものを冬季に天然ガスを用いた暖房の代わりに利用します。

 

2. 二重スクリーンでサステナブルに

二重スクリーンも、50%のエネルギー削減という目標に大きく貢献します。二重スクリーンを活用し、エネルギーを施設内に保持し、省エネを実現することが大切です。
 
オランダの栽培コンサルタント会社によると、二重スクリーンを含めた省エネ技術を仮にすべて導入した場合、エネルギー消費量は、ほぼヒートポンプを駆動する電力のみだそうです。

 

3. 太陽光エネルギーのバッテリー価格

太陽光エネルギーに関しては、需要と供給のバランスが悪いことが課題に挙げられています。解決策としては、大量のバッテリーを設置する必要があると言われています。ただし、これにはコストはかかります。オランダではこのバッテリーの価格が。毎年17%ずつ低下しているため、将来的には、太陽光エネルギーのより効果的な活用が可能になると言われています。

 

4. エネルギーネットワークVS省エネを目指した自給自足

また余剰熱を共同で利用する『熱ネットワーク』という仕組みが注目されており、地区にある発電所や工場などの地熱や余剰熱を地中のパイプで送って活用しています。これはCO2削減にも大きく貢献しており、施設園芸分野でも活用されています。
 
しかし専門家の中には、エネルギー業界も近い将来、余剰熱を減少させて、エネルギーをより有効に活用することが余儀なくされるため、施設園芸業界も高価なネットワークを構築するよりも、可能なかぎり省エネを目指し、エネルギーの自給自足化を目指すべきだという人もいます。

 

5. CO2排出量の軽減

化石燃料ゼロを目指すためには、CO2を効率的に活用することも重要です。実は夏季に投与されたCO2の約90%が、換気窓から施設外へ放出されてしまいます。その損失を半減できれば、少ないリソースで管理ができ、環境面だけでなく、コスト面でも大きな差が出てくるでしょう。

 

コスト面でもメリットがある省エネ技術は?

 

化石燃料ゼロを目指すことは容易ではありません。また技術的には可能であっても、コストの面から実現ができない場合も大いにあり得ます。たとえば通常の菊栽培では、1m²あたり約27m²のエネルギーを使用しますが、そのうち60%は加熱に使用されています。オール電化温室で、さらにヒートポンプを用い、エネルギーを貯蔵した場合の設備コストは、1m²あたり56ユーロ(約6,500円)です。これはオランダでも、多くの生産者が高額だと感じています。
 
では、現時点で導入可能な技術にはどのようなものがあるのでしょうか。ワーヘニンゲン大学の『化石燃料を含まない栽培に関する研究』では、LED照明、顕熱の回収による除湿、スクリーンの追加、地熱エネルギー、ヒートポンプなど、さまざまな技術と、その組み合わせからコスト面も含めて実現の可能性を検証しています。

 

CHP導入がコスト面からも最良

現時点ではCHPを使用することが、コスト面から最良の選択だと結論づけられています。CHP(Combined Heat and Power)とは、ガスエンジンにより、熱と電気を供給できる熱電併給設備です。また天然ガスの燃焼時に生じる炭酸ガスを、光合成促進のために施設内で活用できます。そのため、トリジェネレーションシステムとも呼ばれています。導入コストは安価ではありませんが、天然ガスの高騰や売電のメリットなどもあり普及が進んでいます。

 

それでもヒートポンプはリーズナブルな選択

また化石燃料ゼロを実現するために、地表水からエネルギーを使用するヒートポンプの利用も、省エネに大きく貢献すると注目を集めています。ヒートポンプを用いると、夏季にハウスを閉め切ることできます。そうすると、湿度と炭酸ガス濃度の最適化が容易であり、収量増を目指せます。また、病害虫の侵入も少なく農薬使用量の削減もできることからリーズナブルな選択だとされています。

 

最後に

 

省エネのために投資をして、サステナブルな施設園芸を目指すことは、将来のエネルギーの価格変動に対応することにもつながり、長い目で見ればコストの削減も実現できます。

 

<参考文献>

  • ‘All electric’ kas binnen handbereik/groeten en fruit
  • Fossielvrije opties voor kasteelten/groeten en fruit
  • Tuinbouw zonder fossiele energie/Wageningen University and research

 

PAGE TOP