培地の使用時に考える「根」環境の大切さ② 根環境とEC・pH

培地の使用時に考える「根」環境の大切さ②
根環境とEC・pH

 

健康な作物を栽培するためには、健康な「根」が必要です。そのため「根環境」を意識し、最適な状況にすることはとても大切です。
 
根環境を整えるためには、栄養成分の状況や水分管理など「物理性」や「化学性」の側面を考慮することはもちろん、微生物環境に関する「生物性」についても考える必要があります。
 
土壌における根環境の研究は長年行われていますが、養液栽培の培地における根環境、特に生物性の側面に関しては、研究途中です。しかしオランダでは、これらの知識が増えつつあります。そこで3回シリーズで、培地使用時の根環境についてご紹介します。第2回は、培地内の「根環境から考えるECとpH」について説明します。

 

化学性の管理で風味上昇や雑草抑制

 

培地内の化学性を考えることは、収量を上げるだけでなく、さまざまなメリットがあります。例えば最適なECで管理すると、トマトの風味がよくなると言われています。またリン酸を制限して、培地を緊密に管理することで、雑草を抑制できます。

 

日射量とEC

 

まずはECについて解説します。化学性の基本でもあるECを管理することは、植物の成長に大切です。
 
植物に水分が供給される場合、根から吸収された内の90%は蒸散してしまいます。残りの10%が、植物の水分含量を増やすことに使われます。ただし日射量が増えると、光合成より蒸散が盛んに行われるため、水分含有量が低下します。
特に光合成システムが飽和状態の間は、日射量の上昇とともに蒸散が増えます。日射量が多い日中などは、養液の灌水量を増やし、ECを下げることが賢い選択です。日中はECを下げ、夜間はECを上げることが重要だとする研究結果が多くあります。日射量に合わせてECを調整しましょう。
 
またECが均一な培地を選択することも大切です。(cococaRa製品のECについて)

 

pHは栄養成分の吸い上げに影響

 

培地内の根環境を整えるためには、pHの要素も重要です。pHは、植物が栄養成分を吸い上げる点で多くの影響を与えます。まずは培地の導入時にpHが均一な製品を選びましょう。(cococaRa製品のpHについて)

 

pHが高い場合

pHがかなり高い場合は、鉄やマンガン、亜鉛、ホウ素、リン酸、銅が十分に吸収されません。またフザリウム菌とフミコーラは、pHが高い場合は優勢になります。

 

pHが低い場合

pHがかなり低い場合は、モリブデンやカルシウム、ホウ素の吸収に問題が出ます。培地が酸性の場合もまた、それらが病原体になりうるため注意が必要です。
 
さらに適していないpHで管理をしていると、沈殿物で灌漑システムが詰まる恐れがあります。培地に関しても、例えばロックウールは、pH5.0以下になると根が茶色になり、pH4.8以下で崩れ、pH4.5以下で植物が死滅します。

 

硝酸塩・アンモニア性窒素とpHの関係性

根環境のpHが適正でない場合、養液でpH を調整してください。さらに重要なのは、硝酸塩とアンモニア性窒素の関係性に注意を向けることです。
 
植物が硝酸塩を吸い上げる時に、埋め合わせとしてアルカリイオンを分泌します。その結果として、pHが上昇します。またアンモニア性窒素が吸い上げられる時に、酸性イオンが分泌され、pHが下降します。これらの変化が、常に根の周りで起こっていることを理解することが大切です。

 

培地内のpHと根環境

植物は、アンモニア性窒素の吸収を好みます。その結果として、灌水チューブに近い部分と遠い部分でpHが異なります。窒素肥料の施用には注意しましょう。
 
また植物の生育ステージごとに、培地のpHは変化します。例えば多くのバラが一度にカット収穫された場合、植物は多くの硝酸塩を吸い上げ、培地中のpHが急上昇します。
 
またトマトは、実の肥大時に比較的多くのカリウムを吸い上げ、これがpHに影響を与えます。根は水素イオンを分泌して中性を保とうとするため、培地内のpHが下がります。パプリカの着果や肥大など生育ステージごとにpHが変わるため、それぞれの作物に合ったpHの管理をしましょう。

 

「根環境」の視点から、今回は「EC」と「pH」について説明しました。次回は、生物性の視点で根環境について解説します。ご興味がある方は「第1回:酸素と灌水管理」と「第3回:微生物」もご一読ください。

 

<出典>

  • In Greenhouses(No.3 August 2019)

 

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