培地の使用時に考える「根」環境の大切さ① 酸素と根環境からみる灌水管理

培地の使用時に考える「根」環境の大切さ①
酸素と根環境からみる灌水管理

 

健康な作物を栽培するためには、健康な「根」が必要です。そのため「根環境」を意識し、最適な状況にすることはとても大切です。
 
根環境を整えるためには、栄養成分の状況や水分管理など「物理性」や「化学性」の側面を考慮することはもちろん、微生物環境に関する「生物性」についても考える必要があります。
 
土壌における根環境の研究は長年行われていますが、養液栽培の培地における根環境、特に生物性の側面に関しては、研究途中です。しかしオランダでは、これらの知識が増えつつあります。そこで3回シリーズで、培地使用時の根環境についてご紹介します。第1回は、培地内の「酸素と根環境からみる灌水管理」について説明します。

 

培地への酸素供給

 

ココピートを含めた培地で栽培をする場合は、培地への酸素供給は不可欠です。 例えばキュウリやトマトは、1時間ごとに、根の重量1gにつき0.2 mgの酸素を必要としています。圃場面積が1m²の場合は、根の重量1kgに対して、酸素は1時間で最低でも200mg必要ということです。ではこれらの酸素は、どこから供給されているのでしょうか。

 

酸素の供給源:水

灌水する水には、酸素が含まれています。圃場1m²あたりに1時間で水を1リットル供給すると仮定すると、水からは最大でも9mgしか酸素が供給されていません。

 

酸素の供給源:空気

それでは根が必要とする200mgを補うためには、どこから酸素を供給すれば よいのでしょうか?この不足分である191mgは、空気から供給されます。しかしこれは、ただ単に通気を増やせばよいという意味ではありません。「“培地内”に、完全に飽和していない空気が十分あること」を目的として管理をする必要がります。培地内の湿度を観察しましょう。例えば、培地内の湿度が70〜75%以下の場合、多くの培地では酸素不足が起こっています。
 
培地の含水量も確認し、適した製品を選びましょう。(cococaRa製品の含水量について)
 
また小さい粒が多いココピート製品を使用すると、空気含量が少なく、湿度が高くなり酸素不足になります。(関連記事:ココピート製品を選ぶポイント①ココピート製品を選ぶポイント②

 

灌水のポイント

 

培地内の酸素量を考慮しながら管理し、根環境を整えるためには、灌水の管理が大切です。よく議論になるのは、灌水の量と回数についてです。「少量の水を多くの回数」もしくは「大量の水を少ない回数」どちらが最適な根環境を維持できるのでしょうか。

 

「少量の水を多くの回数」のメリットとデメリット

「少量の水を多くの回数」灌水するメリットは、コンスタントに水分が供給されるため、培地内に塩分の蓄積が少ないことが挙げられます。
 
しかしデメリットは、灌漑システムがあまりうまく機能しない場合、培地が水分不足に陥りやすいことです。さらに植物が必要としている水分と、灌水の最適な量や頻度を探し出し、管理をする必要があるため、複雑な灌水の戦略が必要です。
 
※cococaRaは、こちらの灌水方法を推奨しています。

 

「大量の水を少ない回数」でも大差ない?

一方で「大量の水を少ない回数」の灌水をする場合、培地からすぐに水が流れ出てしまうというデメリットがあります。
 
しかしオランダの研究では、ECの平均が同じ場合「大量の水を少ない回数」で灌水する「スタンダードな灌漑」でも、「少量の水を多くの回数」灌水する「精密な灌漑」でも、結果に大差がないことを報告しているものも多くあります。灌水システムを含めた環境制御システムが最新で、精密な戦略を立てて制御している場合であれば少量多回数が効果的ですが、そうでない場合は灌水に関しては、あまり気にし過ぎる必要はありません。
 
「根環境」の視点から、まずは「酸素」と「灌水」について説明しました。次回は、EC、pHなど化学性の視点で根環境について解説します。ご興味がある方は「第2回:ECとpH」「第3回:微生物」もご一読ください。

 

<出典>

  • In Greenhouses(No.3 August 2019)

 

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