ココピートを再使用する3つのメリットと再使用を決めるプロセス
ココピート製品は、一作のみではなく何作も「再使用」される場合が多々あります。ココピート製品の再使用には、経済的にも環境配慮の側面でもメリットがありますが、気をつけなくてはいけないポイントもあります。
ここでは、ココピート製品を再使用するメリットと、効果的な再使用を実現するための注意点する前に確認するポイント」について説明します。
TOPIC
1.ココピートの「再使用」と「再利用」とは
2.ココピート再使用の3つのメリット
3.ココピートを再使用するかを決める3つのプロセス
4.ココピートを「再使用」も「再利用」もしない場合の注意点
ココピートの「再使用」と「再使用」とは
はじめに、再使用と再利用についての定義の違いについてお話します。
再使用
ココピートの再使用とは、一作のみではなく何作か同じココピート培地を使うことを指しています。ココピートのpHは、中性に近い不活性物質であるため他の培地より、再使用するには有利な培地です。
再利用
一方で、次作でココピートを培地として「再使用」しないことを決めた場合も、培地とは異なる方法で、ココピートを「再利用」できます。ココピート培地を使用し、畑にすき込んで土壌改良剤として使ったり、堆肥として販売したりするなど、培地とは他の方法で活用することを再利用と言っています。
このサステナブルな再利用も、100%有機培土であるココピートを培地として使用する魅力の一つです。
ココピートを「再使用」する3つのメリット
それでは、ココピート製品を再使用することのメリットについて説明します。
1.金銭的コストの削減
ココピートを再使用すると、当然ながら購入するココピート製品が少なくなり、金銭的コストが削減されます。
2.時間・労働コストの削減
金銭的なコストの削減だけでなく、ココピート製品を購入時にかかる代理店とのコミュニケーションや、受取りなどの時間的コストも削減できます。代理店に培地を購入に行く場合は、移動時間を削減し、エネルギーも節約できます。もちろん作業負担も減るため、精神的、肉体的負担も軽減されます。
3.地球に優しい選択
ココピート製品は、ロックウールやピートモスなど他の培地と比較して、環境にやさしい選択です。冒頭でお話したように、ココピートは、再使用することも可能ですし、万が一再使用ができない場合でも、土壌改良剤や堆肥などに再利用することできます。
ロックウールは堆肥化できず、リサイクル設備が整っていない場合、他のゴミのように埋められる場合があります。またピートモスは有限な泥炭から抽出するため、サステナブルではありません。
ココピート製品の選択自体が環境に優しいのですが、再使用するとさらに環境に配慮した栽培ができます。

ココピートを再使用するかを決める3つのプロセス
再使用にはメリットがありますが、間違った状態で使用すると、栽培に影響を与えてしまう恐れがあります。ここでは、再使用が適切かどうかを判断するための3つのプロセスをご紹介します。
【STEP1】新しいココピートを設置する前にチェック
1.育苗には使用しない
まず、育苗や若い穂木には、再使用のココピート製品を使用しないようにしましょう。これらには新しいココピート製品を使用しましょう。
2.あらかじめ計画を立てる
ココピート製品の再使用を計画している場合、はじめから意図して使用することが大切です。たとえば販売前に、製品をコーティング加工すると、潜在的な病原体の感染を防ぐことができます。
【STEP2】一作目が終了したらチェック
1.見た目で物理的な構造が変化していないか確認する
まずはココピート製品の、物理的な構造を目視で確認しましょう。使用期間や頻度が高くなるにしたがって、ココピートの大きさが小さくなり、変形する傾向があります。そうなると空気含有率が低く、排水性や保水性も劣るため、再使用は見合わせた方が良いでしょう。または新しいココピートを追加をして、再使用することを検討してください。
2.作物に病歴がないか確認する
作物の病原体の履歴を確認することは、ココピート製品を再使用する際に考慮すべき重要な側面です。微量の病原体でさえ、作物を栽培するときに問題が出る可能性があります。また虫が多量に出てくる場合は再使用せず、土壌改良剤として再利用をしてください。
3.すき間がないか確認、あればココカラ担当者に相談
ココピート製品を再使用する場合は、すき間がある場合は、新しいココピートを追加したり、他の培地と混ぜたりして、保水性や吸水性を保つために不足分を補うことがあります。
そうなると、pHバランスが「微妙に」変化する場合があります。この変化における収量の変化と、追加する労力やコストを考慮した利益と、新規でココピート製品を購入する場合のコスト等を比較して再使用の可否を検討する必要があります。この場合は、ココカラの担当者にご相談ください。
4.ECとpHが適正値か確認する
栄養保持に関しては、ココピート製品は他の培地と比べて数作使用した後でも化学的に安定しています。ただし灌水する養液によっては、化学的不均衡を引き起こし、ECが低下する可能性もあります。またECが高い場合、作物の生育に影響を与えてしまうため注意が必要です。
それでは、具体的なECとpHの確認方法の手順について詳しく解説していきます。
1:1.5抽出法とは
1:1.5抽出法は養液栽培での培地を測定する手法のうち、有機資材であるピートモスや堆肥、そしてココピートを分析する手法です。他に1:2抽出法や1:5抽出法がありますが、これらは無機資材を測定するときに使用されます。この1:1.5抽出法を使って、ココピートのEC やpHを測定し、次作でココピート培地を「再使用」できるかどうかの判断材料にします。
1:1.5抽出法の手順
1.サンプルを採取する
スラブまたはポットから、ココピートのサンプルを約300ml取り出します。できるだけ、いろいろな場所からサンプル採取してください。
2.水分量を確認する
採取したサンプルを容器に入れ、適切な水分が含まれているかを確認します。サンプルを絞って、指の間から少し水分が出たら、適切な水分量です。必要なら、蒸留水または脱イオン水をゆっくり加えて、ココピートを混ぜます。
3.pHとECを測定する
計量カップに、150ml の蒸留水を入れます。そこにココピートを、250mlになるまで入れます。しっかり混ぜて、最低でも2時間放置し沈殿させます。その後再度混ぜて、pHを測定します。またこの材料をろ過し、ECを測定します。
1:1.5抽出法でのECとpHの目標値
1:1.5抽出法で測定したECの目標値は、1.1 〜1.3で、pHは5.3 〜6.2です。この目標値が、ココピート製品の再使用するかどうかの一つの基準になります。またECが非常に高い場合は、酸性水ですすぐなど、対策をお勧めします。


【STEP3】再使用後に状態をチェック
再使用後、培地の成分バランスが整っていくのを確認しましょう。
再使用を決めた場合、前作と培地の成分バランスが同等か気になると思います。前作の最後には、培地のカルシウムバッファーレベルが低下している可能性がありますが、肥料を与えると補充されるため、あまり心配する必要はありません。
また新しい穂木を定植し、その隙間を必要に応じて新しいココピートで埋めた場合、その新しい根が再使用分のココピートまで到達すると、再び培地の成分バランスが保たれます。
ココピート製品を再使用をする場合は、あらかじめ計画を立て、またコストや収量による利益の増減を考慮して、再使用するか新規購入をするか決定しましょう。また、次作への再使用を迷われたらココカラのスタッフへお気軽にご相談ください。
ココピートを「再使用」も「再利用」もしない場合の注意点
やむなくココピートを「再使用」も「再利用」もせず、処理するときに、気をつけなくてはいけないポイントがあります。ココピート製品は有機物で生分解性ですが、繊維はとても丈夫で、すぐには分解しません。

場合によっては、分解するまでに数十年かかることがあります。そのため、未使用のまま破棄することは避けてください。未使用のまま埋立地まで到達してしまうと、分解されずに長年残ってしまいます。
ココピートは使用後もさまざまな再利用方法がありますので、ぜひご活用ください。
<参考文献>
- Pardossi A., et al., 2011. Fertigation and Substrate Management in Closed Soilless Culture.
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