ココピートとロックウールの違いとメリット・デメリットとは
施設園芸など養液栽培において、園芸培土(培地)は栽培の要の一つです。培地の種類は多様で、その中でもココピート、ロックウール、ピートモスがよく使われています。現在はその使い方や特性などが少しずつ知られてきていますが、適切な使用方法や製品ごとの特性を正しく理解されている方が多くないことも現状です。そこで、ココピートとロックウールの違いや使用するメリット・デメリットについて詳しくご説明します。
ココピートとは?
ココピートとは、ココヤシのハスク(中果皮)を原材料として、0.1〜10mmに粉砕した粒を利用した有機培土です。主な生産国はインドやスリランカで、有機質100%であること、高い保水性であることから、多くの国で使用されています。用途や使用する場所に合わせて形状を変えることができます。
ココピート栽培に適した作物
ココピートは施設園芸で培地として使用されるだけでなく、土壌改良剤として土壌にすき込むなどさまざまな用途で使われています。しかし、どの作物にも同じココピート製品を使用して良いわけではありません。例えば、土壌改良剤にはココヤシの繊維の部分から、粒状のダストの部分までが混在した製品を使用しますが、いちご、トマト、パプリカ、きゅうりなどの養液栽培で培地として使用する場合には、作物に関しては長い繊維や細かい粒(ダスト)の部分は含まれていない製品を使用する必要があります。(ココピートの作物別製品一覧・成分表はこちら)
ココピートを使用する4つのメリット
ココピートを使用するメリットはさまざまですが、特に注目するメリットが4つあります。
- 使用後の廃棄処分が容易でサステナブル
ココピートは100%有機培土のため、畑にすき込んで土壌改良剤として再利用ができます。また、堆肥にして販売している方もいます。 - 比較的安価
ロックウールと比べ、安価で購入できます。また、廃棄処分に関しても、基本的には無料です。業者に引き取ってもらう場合でも、ロックウールより比較的安価に処分ができます。 - 2年間は同じ培地を使用できる
培土を補充すれば5年以上、しない場合でも2年間は同じ培地を使用できます。 - 環境にやさしい
ココピートはヤシの生産物の残さを利用しており、環境に配慮した製品です。
ココピートにもデメリットはある
ココピートは、有機物なので、窒素が入るとCN比が低くなり、発酵が始まり堆肥に変化していきます。発酵が始まると、培地(ココピート)の固さが変わる、保水性が変わる、培地量が低くなるなど、培地としての物理性が変わっていきます。
ココピートは使用する椰子のバライティー、産地、製造工程、場所(微生物の種類が異なる)によってココピートの品質が異なるため、品質を見極める必要があります。
例えば、製造段階で、ココピートの堆肥レベルがバラバラだと(色が黄色だったり、茶色だったり、黒色だったり)最初からばらつきが生じ、黒色のココピートが多いと堆肥になる速度が早いなり、1年で物理性が変わるり使えなくなる場合もあります。
▼詳しくは『ココピート製品の「色」で特徴や品質を見分けましょう』
また、ココカラのココピートは粒の大きさ(篩い分け)だけでなく、色(堆肥度を3ヶ月でストップする)を同じレベルにしているので、使用期間(3年〜4年)のバラツキや物理性は変わらたないため、一定期間品質を維持することが可能です。
▼ココピートの品質の見極め方は「ココピートを選ぶ3つの基本。安定収量を実現するための選定基準と見極め方」

ロックウールとは?
一方、ロックウールは玄武岩や天然岩石などを1500〜1600℃の高温で溶解し、遠心分離により繊維状に固めた無機培土です。化学的に不活性であることから、培養液の組成にほとんど影響を与えません。そのため、注入した養液や水が作物に直接的に影響を与えるので、栽培管理がしやすいことが特長です。ただし、水を与えすぎると過湿になるため、循環型では排水対策をきちんと行う必要があります。
また、非循環型においては、肥料成分が外部に放出され環境汚染につながることを懸念しなくてはいけません。ロックウールを使用する場合は、最先端の環境制御システムやドリップかんがいシステムなどで綿密かつ適正に管理をする必要があります。
ロックウールを使用する3つのメリット
ロックウールを使用するメリットの中でも、特に注目するメリットを3つ解説します。
- 歴史が長い
1970年代後半からオランダを中心に普及し、日本には1980年代に導入されました。歴史が長いため、多くの実証実験や研究がされています。 - 最適な環境を作ることができる
最大で90%の植物が吸収できる水を保持できるので、細かい栽培管理をすれば、気候や植物に合わせて最適な環境を作ることができます。 - 均一性が高い
無機培地のため、肥料が吸着しません。そのため、スラブが飽和している時の潅水の組成と、スラブ内また初期の排液の組成が安定します。
ロックウールのデメリットは、廃棄処理方法
ロックウールを使用する場合、最も課題になるのは使用した後の処理方法です。一般的な方法は、専門業者に委託して埋め立て処理をします。ただし、非常にコストがかかる上に、環境に配慮した方法とは言えません。委託の上リサイクルをする方法もありますが、こちらも運搬費を含めて高額です。また、近年都道府県によっては、委託の価格が上がっているところも多くあり、経営を圧迫する場合があります。

ココピートとロックウールの栽培での比較
- ココピート
ココピートはロックウールに比べCEC 値が高く、特に根の発育を促進させるカリウム・硫黄の吸収が高く、作物の発育が良い特徴があります。また、保肥性も高く、安定した栄養素を根から吸収・ 放出する力に優れています。ココピートにはトリコデルマ菌が存在 するので病気にも強い傾向にあります。ココピートは光合成が高く、トマトを甘くするグリコースも多く 含まれ、重量、収量もロックウール より高いです。
- ロックウール
その一方、ロックウールは、ココピートに比べて保肥率が低く、ほとんどの肥料は排水に含まれて流れてしまいます。ロックウールを使った栽培は、作物が病気になりやすいというデメリットもありますので注意が必要です。
ココピートとロックウールを使用するかに悩んだらお気軽にご相談ください。ココカラでは、生産者の方に、品質に納得してご購入いただくために、無料サンプルの提供もしております。
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